Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

Gaeilge

「三月に」をアイルランド語で言うと Marta

「三月」の語 'Márta' を取上げる。こういう月の名前が出てくると、季節を通じて連帯感が生まれる。アイルランド語と他の言語、例えば英語(March)との間に。両者は一見してよく似ている。ラテン語のマールティウス Martius、即ち軍神マールス Mars の月(…

「復活祭」の語源 Domhnach Casca

キリスト教会の暦で「復活の日曜日」(Domhnach Cásca)。イースター・サンデーの語源談義。

ODE で引く O' が正確な件

辞書を引いてアイルランド人名に現れる O' が正確に説明してあることはまれだ。 その点、ODE はいい。'descendant' 「子孫」の意だとはっきり書いてある。 iOS 版の ODE が無料で提供されている。それの画面を掲げる。 不正確な辞書を(悪い例として)いろい…

ショーサヴとの約束、のようなもの

〔蔵出し 20050308〕 (2005年)3月6日のシャン・ノース・ダンスのワークショップ終了後、帰り際にショーサヴ・オ・ニャハタンに、また会おう(Feicfidh mé arís thú, a Sheosamh)と声をかけると、思ってもみない言葉を返してきた。

一見すると大辞典の風格があるが、中身は初心者向けの小辞典

前田 真利子, 醍醐 文子編著『アイルランド・ゲール語辞典』(大学書林、2003) 分厚い大きな本である。一見すると大辞典の風格がある。が、中身は初心者向けの小辞典である。日本のアイルランド語初学者向けの丁寧な工夫が随所にある。

〔蔵出し記事 20040203〕 旅に水は欠かせない。ニューズエージェンシーやスーパーに寄れば必ず調達したが、小さな店だとスティル(炭酸なしのふつうの水)が売切れていることがあった。そういうとき、スパークリング(炭酸入り、イタリアで言うアックア・ミ…

Corn Cuimhneachain Chonaill Ui Fhearraigh

〔蔵出し記事 20040128〕 リリス・オ・リーレから得た情報で一つ大きかったのは、ドネゴールの歌唱伝統のコンテストであるコナル・オ・ファリの名を冠したそれは、エラハタス・ナ・ゲールゲの一部門となっているということだ。従って、エラハタスに行けば、…

リリス・オリーレの代表作

Lillis Ó Laoire, Bláth Gach Géag dá dTig (CIC, CICD 075) 今日、ドネゴールのシャン・ノースの男性歌手として、リリス・オ・リーレの右に出る者はいない。彼の代表作がこのアルバムである。

Peigin mo Chroi

〔蔵出し記事 20040115〕 これは音楽の問題というより、アイルランド語の問題なのだが……。人気グループ Dervish を2003年12月29日にドネゴールの Dunlewey で聞いた。2002年12月10日京都で聞いた時よりずっと素晴らしい音で、アンサンブルもよく分かった。日…

Voice, or Mountain Music 1920s-30s

〔蔵出し記事 20040109〕 とんがりやまさんのブログ記事「これもまた“ボーダー・ミュージック”なのだ。」で見つけたマウンテン・ミュージックの歴史的録音へのコメント。声と言語との関係について。あるいは TV が及ぼす言語の変化について。 音楽が自分の声…

文明衰亡の条件

〔蔵出し記事 20040112〕 中西輝政さんの『国民の文明史』によると、文明衰亡には六つの兆候がある(産経抄、産経新聞2004年1月12日)。 これを読んで、アイルランドのゲールタハトのことと、日本のこととを考える。ゲールタハトには明らかにそれがなく、日…

ドネゴールの伝説的歌い手の歴史的録音

Jimmy Dinny Ó Gallchóir, Seal ag Gabháil don Cheol (CIC, 2008) ジミ・ディニ・オガルホーィル(Jimmy Dinny Ó Gallchóir, 1921-1980)の1950年代、70年代の歌唱の録音を集めたもの。オリジナルの音源は RTÉ (アイルランド準国営放送局)と Raidió na Ga…

東マンスターの歌集 'Binneas thar Meon'

Dáithi Ó hÓgáin, Binneas thar Meon, Iml. 1 (CBÉ, 1994)

Emigrant Songs 移民歌(アイルランド移民の歌)

移民歌 (emigrant song) について話した内容を参考のためにまとめます (うたとお茶の会、2000 年 7 月 9 日)。ただし、それ以降に得た知見に基づいて随時、加筆しています。

夭折した天才詩人カチリーンの1976年作

Caitlín Maude, Caitlín (Gael Linn, 1976; rpt. 2003) いとしのカチリーン。アイルランド語詩歌のひとつの極北。夭折した天才詩人の1976年作が2003年に奇跡の復刻。 奇跡という以外に何といえようか。カチリーン・モード(1941-1982)の声を一度でも耳にし…

ヘブリディーズとキリスト教

たまたま、永嶋大典著『英訳聖書の歴史』(1988)を読んでいたら、ヘブリディーズ諸島のことが出てきた。 この本は英訳聖書の外面史という、非常に限られた視点からの研究書であるが、意外なことに触れている。後日、参考になるかもしれないので、少し引写す…

ラサリーナのソロ・デビュー盤

Lasairfhíona Ní Chonaola, An Raicín Álainn (LNC 001CD, 2002) ラサリーナのソロ・デビュー盤。番号から分かる通り、アーティストのインディペンデント・レーベル。全14曲。すべてアイルランド語の歌。2002年8月8日、フランス西部のロリアンで開かれたイン…

Achainí an Ghrá (Request of Love)

ラサリーナ・ニホニーラがエクトル・ザズーの《ライツ・イン・ザ・ダーク》のトラック12で唄う 'Achainí an Ghrá (Request of Love)' 「御身の愛をわれに与えたまえ」。 Lights in the Dark posted with カエレバ Hector Zazou Elektra / Wea 1998-04-30 Rí …

Amhrán na Páise (Song of the Passion)

ラサリーナ・ニホニーラがエクトル・ザズーの《ライツ・イン・ザ・ダーク》のトラック7で唄う 'Amhrán na Páise (Song of the Passion)' 「御受難の歌」。

Dán na Marbh (Poem of the Dead)

ラサリーナ・ニホニーラがエクトル・ザズーの《ライツ・イン・ザ・ダーク》のトラック3で唄う 'Dán na Marbh (Poem of the Dead)' 「死者の歌」。ウード (Thierry Robin) とオカリナ (Carlos Núñez) の伴奏が印象的。 Lights in the Dark posted with カエレ…

ディニーン(Dinneen)のオンライン辞書

Patrick S. Dinneen, Foclóir Gaedhilge agus Béarla (Irish-English Dictionary) (1904/1927) ディニーン(Patrick S. Dinneen)のアイルランド語辞書といえば、多くの人の愛読書だ。たとえば、アイルランドの詩人ヌーァラ・ニゴーナルの。

アイルランドの大学授業料無料の根拠

アイルランドの大学授業料の無料の根拠がキーティングにあること。ただし、現状は無料でない。さらに、EU外の学生(日本を含む)は高額の授業料を支払わねばならない。*1 キーティング(Geoffrey Keating, 1569–1644)の書いた『アイルランド史』 Foras Feas…

ピアス(Pearse)の文章を音読する

語学の達人に聞いた二つの方法。 <a href="http://michealh.hatenablog.com/entry/2015/08/24/111926" data-mce-href="http://michealh.hatenablog.com/entry/2015/08/24/111926">語学の達人に聞いた"読み"の上達法2つ - Tigh Mhíchí…

festology (festilogy, félire)

'festology' の語について ディロン(Myles Dillon)の本を読んでいて 'festology' の語に出くわす。ふつうに調べても中々わからない。

語学の達人に聞いた"読み"の上達法2つ

世の中には本物の語学の達人が存在する。できれば、そういう人たちから直接聞いたり学んだりできれば一番いい。 幸いにも知己を得た中に掛け値なしの達人が二人おられる。その二人から学んだ方法を、おすそわけしたい。

アイルランド語の最高の文法書を無料で入手する

アイルランド語には標準語がない。三つの方言に分かれており、そのどれかが話される(北からドネゴール方言、コナマーラ方言、マンスター方言)。 しかし、標準の書き方、標準の文法はある(三方言にのっとった書き方、文法は別にある)。

ブログ名の意味 Tigh Mhíchíl

ブログ名 Tigh Mhíchíl の意味は英語で in Mícheál's House です。 「ミオールの家で」

冬のゲールタハトを訪ねて

以下は 2003 年12月から翌年1月にかけてのゲールタハト(ドネゴール と コナマラ)訪問記です。初出は「冬のゲールタハトを訪ねて」(「クラン・コラ」2004年1月号)で、それに加筆し註釈を加えたものです。

パダル、ラフトゥリーの名曲を唄う

ラフトゥリーの名曲は今もアイルランドで愛されている。 エラハタス(アイルランド語芸術の大会)などでも特別の尊崇をもってラフトゥリーの歌が扱われる。

「我はラフトゥリー」のゆえに

カハル・オー・ガルホール、三橋敦子『ゲール語四週間―アイルランド』(大学書林、1983) アイルランド語の独習書。1983年に刊行された。(「序」の日付は1980年12月6日。)題名の「ゲール語」とはアイルランド・ゲール語のこと、つまり、アイルランド語のこ…