梨木香歩
梨木香歩が「本の旅人」に連載した「きみにならびて野にたてば」の第7回(2013年4月号)について。 (承前) 「アザリア」同人の河本の話。嘉内から完膚なきまでの拒絶を受ける賢治。梨木は嘉内の遺族に会って話を訊く。韮崎で嘉内の次男、保阪康夫から聞か…
梨木香歩が「本の旅人」に連載した「きみにならびて野にたてば」の第5-6回(2013年2-3月号)について。 (承前) キーワードとして「伝わること」「手紙」「風」など。天才同士の出会い。保阪康夫(嘉内の次男)への直接取材。二人の友情の術に自らかかるこ…
梨木香歩が「本の旅人」に連載した「きみにならびて野にたてば」の第4回(2013年1月号)について。 (承前) 宮沢賢治と保阪嘉内との友情の原点たる岩手山登山。その資料。「電信柱」や「空」の背景。作者梨木香歩にとって詩とは。伝わること。 今回は「『宮…
梨木香歩「きみにならびて野にたてば」(連載第3回) 梨木香歩が「本の旅人」に連載した「きみにならびて野にたてば」の第3回(2012年12月号)について。 (承前) 宮沢賢治と保阪嘉内との友情。その原点としての岩手山登山。銀河をゆく列車の夢想。 初めて…
梨木香歩「きみにならびて野にたてば」(連載第2回) 梨木香歩が「本の旅人」に連載した「きみにならびて野にたてば」の第2回(2012年11月号)について。 (承前) 宮沢賢治と保阪嘉内との友情に影響を受けた人々に起こったことを記録するための小説として書…
梨木香歩「きみにならびて野にたてば」(連載第1回) 梨木香歩の「きみにならびて野にたてば」は「本の旅人」の2012年10月号から2015年11月号まで連載された。はじめはフィクションが事実の合間に交わる形だったのが、長い休載の後はノンフィクションとして…
梨木香歩『岸辺のヤービ』(福音館書店、2015) 水辺に棲むハリネズミのような生きものヤービと寄宿学校の教師が出会うところから物語がはじまる。梨木香歩が十年以上も温めてきた生命の交響詩ともいえるファンタジー小説の開幕。 ヤービと人間との異種間交…
新潮文庫 編『文豪ナビ 芥川龍之介』(新潮文庫、2004)所収 梨木香歩のファンは或いはこれは読まぬ方がよいかもしれない。芥川龍之介についてのこのエセーは梨木らしからぬ箇所が多く、ダイハードなファン(著者のものならとことん読み尽くす人)でもなかな…
梨木香歩『ぐるりのこと』(新潮文庫、2007) ある物語(『沼地のある森を抜けて』)のための種が芽生え思索を続ける過程で時々の随想を綴ったエッセイ。その物語との対比や対照としてなら道筋がすこし見えるけれども、そうでない限り断章以上でも以下でもな…
梨木 香歩『春になったら苺を摘みに』(新潮文庫、2006) いい話がいっぱい詰まっている。これからも折にふれて読み返すだろう。そのことだけは確信できる。 アイルランド人のサリーという人がチラッチラッと出てくる。著者がイェーツ好きになったのはこの人…
「ミセス」2015年 3月号(文化出版局、2015) 雑誌の目次に「〈世界遺産〉熊野古道 梨木香歩さんが歩く、蘇りの道」とある。蘇りは編集者がこの文章から読取った鍵語としてふさわしい。 著者がある覚悟の上でこの取材行を引受けたことが最後の方に出てくる。…
「ちくま」 2015年06月号(筑摩書房、2015) 酒井駒子の描く少女の表紙が印象的な筑摩書房のPR誌「ちくま」2015年6月号で、梨木香歩の新連載「風と双眼鏡、腰掛け毛布」が始まった。筑摩書房のウェブサイトにもこの新連載の記載がなく、知るひとが少ないかも…
梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(岩波現代文庫、2015) もとは理論社から2011年に(中学・一般向けの青春小説として)刊行されたこの本が、2015年に岩波現代文庫から出たことの意味を考えている。第二次世界大戦後の諸問題について、日本人が…
梨木 香歩、木内 達朗 絵『蟹塚縁起』(理論社、2003) 宮沢賢治作の物語(「氷河ねずみの毛皮」)に添えた木内達朗の絵を見初めた梨木香歩は、十年後に、念願を果たす。自作に木内の絵を描いてもらったのだ。読者としては、この幸福な結びつきにお礼を言い…
梨木 香歩『『秘密の花園』ノート』(岩波ブックレット、2010) 現代人が当面する諸課題のガイド・ブックを目ざす小冊子、岩波ブックレットの773番。児童文学の古典、フランシス・ホジソン・バーネット作の『秘密の花園』(1911)を作家の梨木香歩が丁寧に読…