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ローカル史としての地球史とくに日本列島居住者の歴史を友達目線で宇宙的に伝えた書


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ミナミAアシュタール『新・日本列島から日本人が消える日(上巻)破・常識屋出版、2020

 

相当に変わった本だ。

読者をえらぶ本でもある。あなたがこの書評を読んでいることも、偶然ではないかもしれない。

上巻を読みおわって言えることは、これまでの常識を破壊するような本だということだ。その意味では「破・常識な歴史」という惹句は誇張でない。ただし、神学や宗教を研究している人、ふかい信をいだいている人の場合は本書を読まないほうがよいかもしれない。



この本に出会ったきっかけは、アマゾンの本の歴史学ジャンルのランキングを何の気もなしにながめたことだ。その日、本書が1位になっていた。まったく知らない本で、著者にも、出版社にも見覚えがない。しかし、読者評をみると、ものすごい数の熱烈で肯定的な感想がならぶ。一見すると無名の書にもみえるのに、これは何だろうと思った。もう少し調べると、その出版社は本書を出版するために設立されたものとわかった。自費出版にもちかいのに、ベストセラーの1位となるとはただ事でない。

参考までに執筆時点(2020年8月20日)のアマゾンの本の歴史学ジャンルのランキングを見てみると、本書が2位、続きの下巻が4位に入っていた (下の画像参照)。

 


ちなみに、その日のランキングに入っているのは、1位が司馬遷史記1 本紀』 (ちくま学芸文庫)、2位と4位が本書の上下巻、3位が、かみゆ歴史編集部『マンガで一気に読める! 日本史』(西東社)、5位が山﨑 圭一『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 公立高校教師YouTuberが書いた』(SBクリエイティブ)、6位が苫米地 英人『日本人の99%が知らない戦後洗脳史』(コグニティブリサーチラボ)、7位がユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福』(河出書房新社)、8位が竹田 恒泰・久野 潤『決定版 日本書紀入門――2000年以上続いてきた国家の秘密に迫る』(ビジネス社)、9位が『サピエンス全史』の上下合本版、10位が緑川 アイラ『ADHD女子革命: 自分のことが大嫌いだった私が、自分を大好きになって幸せになれた方法』(ゼロイチ出版) となっている。

率直にいって、歴史学というジャンル名に合うのか疑問の本もまじってはいるが、大部分は納得できる書籍群だ。そのなかに本書が入っているということは、少なくとも何かあるだろうと感じ、読んでみた次第である。



この上巻で扱われるのは、大きくわければ、宇宙史と日本史だ。

宇宙史のほうには、宇宙のはじまり、地球の誕生、恐竜時代などが含まれる。宇宙のはじまりのところは、山本佳人『宇宙意識の哲学的研究』のような哲学的な話がでてくる。ここの部分は哲学的発想に関心のない人には難解あるいは退屈に感じられるところかもしれないが、非常に興味深い内容で、これだけでも本書を手にとった価値はあると感じられた。

日本史をふくむ本書のそれ以外の部分は、奇想天外なストーリーが次々と展開するので、あまりのおもしろさに読むのをやめられないほどである。とくに、縄文、信長、秀吉、家康に関心がある人には興味深いだろう。



本書がどのようなものか、一言でいうのはむずかしいが、強いていえば、〈ローカル史としての地球史とくに日本列島居住者の歴史を友達目線で宇宙的に伝えたもの〉とでもなるだろうか。

改行が多いのは、ウェブ上の記事をそのまま本にしたためだと思われる。



著者名が変わっているが、これは四名を合わせた名前である。