Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

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ショーサヴとの約束、のようなもの


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〔蔵出し 20050308〕

 (2005年)3月6日のシャン・ノース・ダンスのワークショップ終了後、帰り際にショーサヴ・オ・ニャハタンに、また会おう(Feicfidh mé arís thú, a Sheosamh)と声をかけると、思ってもみない言葉を返してきた。

 こちらは軽い挨拶のつもりだった。ところが、ショーサヴの答えは、どこでだ、スピダルか、ゴールウェーか、と来た。正直、仰天した。

 アイルランド人はこういう当意即妙の答え(riposte)がうまいような印象がある。それはハリー・ブラッドリーにも感じた。ある学者の話になったので、その奥さんもだろと水を向けると、どっちの奥さんだ、と来た。本当の妻か、それとも愛人かと。ぎゃふん。こちとら、そんなやりとりに応じる頭脳は持合せていない。

 で、ショーサヴの答えには、う、う、たぶんスピダルで(sa Spidéal, is dócha)としどろもどろになりながら返す外なかった。たぶんね(is dócha)と付加えるのが私の精一杯の躱し技だった。まことに情けない。

 言葉の問題を考えていると、ひょっとすると、この問題はシャン・ノース・ダンスの本質にもつながるのではないかと思えてきた。アイルランド語はうまい言いかたを含む諺の宝庫である。場面に応じて適用可能な無数のヴァリエーションがある。こんにちは、と言うのに、道で会った場合と、パブに入った場合と、TV でアナウンサーが言うのと、全部違う言いかたが可能な言語である。

(その後、ショーサヴにはエラハタスで何度も会っている。)