Tigh Mhíchíl

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Peigin mo Chroi


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〔蔵出し記事 20040115〕

 これは音楽の問題というより、アイルランド語の問題なのだが……。人気グループ Dervish を2003年12月29日にドネゴールの Dunlewey で聞いた。2002年12月10日京都で聞いた時よりずっと素晴らしい音で、アンサンブルもよく分かった。日本ではやらなかった 'Peigín mo Chroí' も聞けた。ただ、それがやや問題だった。

 あるレポートによると、Dervish は2003年11月29日、Sligo でこの歌をやったらしい。もちろん、素晴らしかったと思う。

 問題は歌詞の最後の部分である。この歌は男女の掛合いで、実際に男女の二人で歌われることもあるのだが、その最後のところで男女が入替わってしまっているのだ。これはまずい。

 ドネゴールのほうはアイルランド語話者が大勢来ていたから、気をつけて聞けば気づいたはずだ。が、じつは、そもそも、それ以前からこの歌詞が問題であることは知られているらしい。ぼくも別のところで指摘したことがある。

 その疑問をリリス・オ・リーレにぶつけてみると、これはこのようなヴァージョンの歌詞を教えた人が悪いという。Dervish には罪はないのだろう。

 ただ、アイルランド語の歌を雰囲気だけで聴くような傾向を助長することになってはまずいということは言える。なぜなら、アイルランド語こそはアイルランド語の歌のたましいだからだ。Dervish は本当にすばらしいバンドであるだけに、この点は残念だ。しかし、繰返しになるが、バンドのアンサンブルそのものは最高にすばらしく、キャシーも実によい歌声だった。

 なお、附言しておくと、当日のヴェニューは Dunlewey Lakeside Centre というところで、これは Frankie Kennedy Winter School の会場だった。ここで2004年1月1日に聞いた Altan の音はそれはもうすばらしいもので、2002年8月25日に河内長野で聞いた美しい音をも上回っていた。さすがに地元での演奏は違う。このセンターは別に高級な音響設計でもなく、湖畔観光の拠点のようなところなのだが、スタッフと聴衆と当人たちの音楽にかける思いがぴったり一つになると、これほどの良い音になるのかという見本のような体験だった。こういうのを聞いてしまうと、この冬季学校のリピーターになる気持ちも分かる。今年は日本人が8人参加したのだ。うち2人はアイルランド語TV放送局 TG4 のインタヴューまで受けた。2004年はこの FKWS の十周年にあたる。