アイルランド
Tanis Helliwell, Summer with the Leprechauns: the Authorized Edition (Wayshower Enterprises, 2012) 驚異の書だ。このレベルの接触をした人物はルドルフ・シュタイナー以来かもしれない。つまり、百年ぶり。といっても、あくまで人間の時間の尺度によれ…
Jeanne Crane, Visiting the Thin Places of Celtic Ireland (2013) この書には感謝しかない。客観的に見れば、素人同然の著者が書いた旅行案内ともつかぬ旅行記ともつかぬ小冊子といえる。しかし、その著者が熱烈な愛情を注ぎ、猛烈に読書し、探究心いっぱ…
2014年6月1日に、iPad 用のアプリとして 'Joyce's Ulysses: A Guide' が出た。註釈や音声をふくむすばらしいソフトウェアである。ジョイスの名作『ユリシーズ』をiPadで縦横に読むことができる。 原作の本文全文に加え、800点の註釈がついている。この本文は…
米本義孝『読解「ユリシーズ」』 ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』の作品前半部、第3,4,5,10,11 挿話を抜粋で取上げ、原文で読むための註解をほどこした書である。(本書の続篇『読解「ユリシーズ」〈下〉』は作品後半の第13,15,17,18挿話を抜粋…
Q:What is Sean-nós?A: Literally Sean-nós means ‘old way’. It is the oldest form of singing in Ireland. Sean-nós songs are usually sung unaccompanied. Excellent examples are the Irish language love songs: Úna Bhán, (Fair Úna), An Caisleán G…
Lumiere, Special Edition (Sony, 2010) 美しい歌声の二人組。 アクースティック・ギター(Donogh Hennessy)を中心とする簡素で趣味のよい伴奏で、二人が時に一人で時にデュオで唄う。 その歌声はまっすぐで、ためらいがない。気持ちよいくらいに素直な唄い方…
Seamus Begley, The Bold Kerryman (IRL, 2015) 多くのファンの夢が実現した。 アコーディオンの名手として知られるシェーマス・ベグリが類稀な歌い手でもあること。アイルランド伝統音楽ファンの間で周知の事実だ。だが、彼はこれまでアルバム1枚でせいぜい…
〔蔵出し記事 20060805〕 産経新聞の「ひもとくスヌーピーの50年」2006年8月4日付で載った分。 原文はこんな感じ。 谷川俊太郎訳は「はくしょん!」「お大事に」。説明コラムは 「お大事に」外国ではくしゃみをした人に「お大事に」って声をかける習慣がある…
Máire Ní Cheocháin のアルバムで挙げた歌 'Cois Abhainn na Séad' は Elizabeth Cronin の録音(1947)もあり、CD 附きの本 The Songs of Elizabeth Cronin (Four Courts Press, 2000) に歌詞と楽譜とが掲載されている(89-90頁)。同 CD と本 CD または上…
ムースクリー(マスケリー)の歌唱伝統を知るのに恰好のシャン・ノース CD Cú-cú-ín をレビューする。 目次 データ 内容 総評 聞きどころ 入手先、試聴 映像 データ Máire Ní Cheocháin: Cú-cú-ín (Acamhadh Fodhla 2, 2006) rating: *** 1/2 sound quality:…
京大正門のカフェレストラン「カンフォーラ」で運良く窓際の席にすわったことがある。お値打ち感最高の特別ランチ(スープ、ミ二サラダ、メインディッシュ、パスタ、パン)を試した。紅茶は大したことない。が、店内完全禁煙ゆえ、ゆっくりできる。 名前が変…
音楽評論家アール・ヒッチナーが The Irish Echo Online 2006年1月4-10日号で、新千年紀(2001年からの千年)に発売された CD から15枚を選出した。よく見ると、1970年代、90年代のものや2000年のものも含まれているし、今では入手困難なものもあるけれど、…
〔蔵出し記事 20051231〕 2005年、生で見たシャン・ノースの歌い手は百二十名を超す。これほど多くのシャン・ノース歌唱を生で聴く機会に恵まれたのは2005年が初めてである。シャン・ノースつながりで言うと、生で見たシャン・ノース・ダンスの踊り手は二十…
映画 'The Boys and Girl from County Clare' (2003) は抱腹絶倒のコメディながらアイルランドの伝統音楽競技会にからむ人間模様を映画の形で見事に拳拳服膺してみせた作品といえる。 ケーリー・バンドの全アイルランド大会に参加する三カ国のバンドのリーダ…
ラーサリーナ・ニ・ホニーラ(Lasairfhíona Ní Chonaola)のアルバム Flame of Wine のトラック 7 'Aoibhneas An Ghrá' について、誰かが書くだろうと思っていたけれど、誰も書かない。そこで、メモ代わりに分かっていることを少し。 ライナーには、「この美…
〔蔵出し記事 20050928〕 2005年の夏、ゴールウェーで少し劇を見た。一つはドルイド・シングの渾名で呼ばれるドルイド一座によるシングの上演。世評は高かったが、私は必ずしも感心しなかった。特に、デアドラこと「悲しみのデルドラ」 Deirdre of the Sorro…
コナマラのシャン・ノース・シンガー Máire Bríd Uí Nia のアルバム Bríd Óg Ní Mháille をレビューする。 Máire Bríd Uí Nia: Bríd Óg Ní Mháille (OECD-010, 1997?) rating: **1/2 sound quality: **1/2 Bríd Óg Ní Mháille Galway Bay The Blind Child Br…
アイルランド語にはいくつか難所がありますが、中でもコピュラと呼ばれる is がなかなか把握に骨が折れます。初級から中級レベルまでアイルランド語を勉強している人でも、自信をもって使うことがけっこう大変かもしれません。 コピュラは奥が深く、これだけ…
2006年2月に CIC が出したシャン・ノース集 CD Sean-Nós Cois Locha をレビューする。 VA: Sean-Nós Cois Locha -- Rogha Sean-Nós Milwaukee 2003-2005 (CIC CICD 162, 2006) rating: *** sound quality: ** Áine Uí Mhuineacháin (Nan Chamais) [ó Chinn M…
Lasairfhíona, Flame of Wine (Claddagh, 2005) 期待にたがわぬ出来……などと冷静に語ることはできぬ。むしろ、思ってもみなかった曲の存在に驚愕するというのが正直なところだ。 それはトラック6 'Galleon' だ。クレジットでラーサリーナ・ニホニーラのオリ…
'The West's Awake' by Thomas Davis Lumiere のアルバム Special Edition (2010) のトラック4に入っていた歌 'The West's Awake' は Thomas Davis (1814-1845) の書いた愛国詩に曲('The Brink of the White Rocks' といわれる)をつけたものだ。 [Thomas D…
フランシー・ムーニー(Francie Mooney [Proinsias Ó Maonaigh], 1922-2006)の音楽家・作家・俳優としての卓越した才能のひとつはアイルランド語の表現力にあったと思います。彼が書く歌詞には人を惹きつけるものがありました。その言語的遺産は不滅の輝き…
"Silver Slipper", "Glen Road to Carrick" & "The Abbey Reel", Cillian & Niall Vallely w Alan Murray 米国の東海岸メリーランドに伝統音楽の振興をめざす非営利団体 IMT (The Institute of Musical Traditions, 1988年創設) がある。 そこで2013年に行わ…
アイルランドの詩人 Seosamh MacCathmhaoil (Joseph Campbell) に関する記事が2016年1月に2本でた。めずらしい。 www.theguardian.com Lady Godiva and Me: The Footnote Poets 2a/4 Joseph Campbell and Literary History. 1つ目は英ガーディアン紙の「今週…
Liadan Late Late Show 女性アイルランド伝統音楽バンド Líadan が2007年10月に有名な音楽番組 'The Late Late Show' に出演して伝承歌 'Mo Ghille Mear' を歌ったときの映像。後半に登場するシャン・ノース・ダンサーは Darach MacMathúna (すばらしいシャ…
Christie Hennessy, Messenger Boy: The Two of Us (Universal 1771877, 2008) クリスティ・ヘネシ(1945-2007)は特別なシンガーだ。彼のあたたかい人間性そのものからにじみ出るような、清らかな歌を聴いた人は、なにか特別な宝のようなものに触れたと感じ…
2005年暮れに発売された RTE のビデオ・クリップ集 Come West along the Road: Irish Traditional Music Treasures, Volume 1 from RTÉ TV Archives 1960s - 1980s (RTÉ RTEDVD99)。プロデュースはニコラス・カロラン。本 DVD はオール・リージョンズのデ…
〔蔵出し記事 20051230〕 2005年を回顧すると、語り、本、科学の三方面でこれまでにない発見をした年であった。それについて、以下、略述する。 語り 語り(scéalaíocht)に以前から関心はあったけれど、2005年に、初めて何人もの本物のアイルランド語の語り…
Sean O Riada, Ceol an Aifrinn agus Aifreann 2 (Gael Linn ORIADACD02) ショーン・オ・リアダのミサ曲 'Ceol an Aifrinn' と 'Aifreann 2' とが一枚の CD に収められ Gael Linn レーベルから燦然とリリースされている。燦然というのは、アルバムのパッケ…
Come West along the Road (RTÉ RTEDVD99) 〔第1集〕 アイルランドRTE放送局の人気伝統音楽番組 'Come West along the Road' のシリーズから精選したもの。ホストはニコラス・カロラン(最近までダブリンのアイルランド伝統音楽資料館 ITMA の館長だった)。…