本
三宅乱丈『イムリ 1』(エンターブレイン、2007) 第13回(2009年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した作品。ちなみに、その年の大賞は幸村誠の『ヴィンランド・サガ』だった。 二つの星を舞台とし、現在支配している民族カーマと、奴隷とな…
アイルランドのシスター・スタンの至言を集めたもの。一日一言ずつ一年間にわたって読める。 いくつか例を挙げてみよう。1月5日。 Standing on the shore, part of the rhythm of the tide. Each wave a giving and a taking, impermanence dissolving into …
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 8』(小学館、2013) (承前) エゾノー祭の当日に倒れた八軒。そこへ父親が訪ねてきて、勉学以外のことで過労になるとはと叱責を受ける。仲間の駒場一郎は甲子園に出られる一歩手前までゆくが、そこであえなく敗退。以後、姿を…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 7』(小学館、2013) (承前) 農業高校一年の八軒勇吾は馬術のデビュー戦で4位という成績をおさめた。よく働く八軒は続いてエゾノー祭にとりかかったが、その当日の朝、過労がたたって倒れてしまう。 ちょっと表紙を見てほしい…
Seán Ó Riada, Our Musical Heritage (Fundúireacht an Riadaigh, 1982; ed. with an introduction by Thomas Kinsella; Musical Editor: Tomás Ó Canainn) ショーン・オ・リアダ(1931-1971)が1962年7月7日-10月13日に行ったラジオ講話を収める小著(楽譜…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 6』(小学館、2013) (承前) 農業高校一年の八軒勇吾は馬術部の副部長に就任。障害をただ一人跳べなかったが、級友の御影アキのおかげで、馬のマロンとともに高く跳ぶ。しかし、秋季大会をひかえ、八軒は山のような仕事を抱え…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 5』(小学館、2012) 八軒勇吾の農業高校一年目は絶賛継続中で実りの秋に突入。秋のエゾノー祭での出し物を考えている。八軒は友人の駒場の野球での活躍ぶりを観て、真剣にやってるのを観るだけで引き込まれた自分に気づく。エ…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 4』(小学館、2012) 八軒はかわいがっていたブタ「豚丼」の精肉を51kg全部買取る。それをベーコンにしたりして、みんなにも喜んでもらう。 自分なりに豚丼に対して筋を通したつもりなのだったが、「正直、自分のやった事が良い…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 3』(小学館、2012) (承前)大蝦夷農業高校の酪農科学科の一年生、八軒勇吾はピザ・プロジェクトを成功させる。夏休みに入り、実家に帰りたくない八軒は御影アキの牧場でアルバイトをすることになる。 農業高校の青春をえがく…
賈芝・孫剣冰編、君島 久子訳『白いりゅう黒いりゅう』(岩波書店 岩波おはなしの本、1964) 宮崎 駿の『シュナの旅』の原作であるチベットの民話「犬になった王子」他全六編の中国民話が収められている。多くは少数民族の民話。挿絵は赤羽末吉。対象は小学1…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 2』(小学館、2011) 主人公の八軒勇吾は大蝦夷農業高校の酪農科学科の一年生だ。行きがかり上、ピザを作ることになり、部活と実習のほかに専門外のプロジェクトをかかえこんだ。お人好しで損するタイプと思われてしまうが、「…
荒川弘『銀の匙 Silver Spoon 1』(小学館、2011) 主人公は八軒勇吾(はちけんゆうご)。高一。大蝦夷農業高校(通称「エゾノー」〔実在の農高がモデル〕)の酪農科学科に入学した。周りは農家の子女や獣医志望などばかりだが、八軒はそういう農業や農学関…
宮崎 駿『シュナの旅』(アニメージュ文庫、1983) チベットの民話「犬になった王子」を元に宮崎が映像化した絵物語。西アジアの原生地から世界へ伝播したという大麦をめぐる物語。チベットは世界で唯一大麦を主食とする国。従って、民話の内容(王子が西へ向…
松岡圭祐『万能鑑定士Qの推理劇IV』(角川書店、2013) 秋田新幹線のE6系電車も登場する2013年刊。 万能鑑定士Qのシリーズには古いほうの事件簿と、この新しいほうの推理劇とがある。本作は両シリーズを踏まえた最終作のような作品になっている。推理劇とし…
〔蔵出し記事 20050916〕 最近アイルランドで時間を過ごした人なら誰でも気づいているだろうが、あちらでは数独は大変な人気である。日本人自身が驚くほどの大人気である。 アイルランドの新聞でその日の数独問題を掲載していないのはアイルランド語新聞だけ…
松岡圭祐『万能鑑定士Qの推理劇III』(角川書店、2013) 主人公は鑑定業を営む凛田莉子(りんだりこ)。万能鑑定士Qは「事件簿」と「推理劇」の二つのシリーズがあるけれど、本書は「推理劇」のほうの第三弾。これまでの経緯などを知っている読者を想定して…
松岡圭祐『万能鑑定士Qの推理劇 II: 2』(角川書店、2012) 「Qシリーズ」の「推理劇」の第2巻。コナン・ドイルのシャーロック・ホームズものの未発表原稿『ユグノーの銀食器』をめぐる謎で幕を開ける。古書オークションに進出しようとする美術品オークショ…
松岡圭祐『万能鑑定士Qの推理劇 I: 1』(角川書店、2011) 「Qシリーズ」の中で「推理劇」の第1巻。この本から初めて読んでもだいじょうぶだ。 主人公の凛田莉子(りんだりこ)は沖縄は波照間島の出身。石垣島の高校を卒業して、飛行機に初めて乗って上京し…
セルバンテス、バラエティアートワークス『ドン・キホーテ (まんがで読破)』(イーストプレス、2009) 17世紀スペインの小説。田舎の郷士アロンソ・キハーダが中世の騎士道物語を読みすぎて、現実と物語の境を飛越え、自らが遍歴の騎士となり、世の不正を正…
エアライン研究会『飛行機に乗るのがおもしろくなる本』(扶桑社、2007) 素材としてはいいものを集めている。飛行機に乗る人が日頃感じるちょっとした疑問や大きい疑問など、(意外な)事実を幅広く収集した本だ。これで編集がしっかりしていれば文句なく薦…
カエサル、バラエティアートワークス『ガリア戦記 (まんがで読破)』(イーストプレス、2010) カエサル(紀元前100-44頃)がガリア遠征についてみずから著した著のまんが化。 共和政ローマ末期から帝政にかけてのローマ史をカエサルという政治家・軍人の内側…
松岡圭祐『水鏡推理』(講談社文庫、2015) 松岡圭祐の『水鏡推理』は2015年9月以降に浮上したドイツ・フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン車の排ガス規制にからむ不正問題も取上げられるなど、最新の科学と研究開発における捏造の問題を扱う異色のミス…
東山彰良『ミスター・グッド・ドクターをさがして』(幻冬舎、2012) 東山彰良の空前の傑作小説『ブラックライダー』(2013)の前作に当たるのがこの小説『ミスター・グッド・ドクターをさがして』(2012)。 本作ではやや抑え気味ではあるが、最後に向けて…
2015年に出会った中から読み返したい本を選ぶ。 ただし、実際に読み返せる本と、それ以外の本とに分かれる。前者は電子書籍または手許で確認できる本。後者はそれ以外(理由はさまざま)。 (実際に)読み返せる本 松岡圭祐『万能鑑定士Qの事件簿V』「食」に…
松岡圭祐『特等添乗員αの難事件 V:5』(KADOKAWA/角川書店、2014) 特等添乗員シリーズ第5作は車の窃盗事件から意外な展開になる。 主人公の添乗員、浅倉絢奈は新居を探すため、婚約者の壱条那沖といっしょに神奈川県川崎市に出かける。そこで、近所の駐車場…
J. R. R. Tolkien, Nicholas Williams (trans.), An Hobad (Evertype, 2013) トルキーンの『ホビット』アイルランド語版について、メーヨー県にある出版元がページを作っている。 The Hobbit in Irish / An Hobad as Gaeilge[An Hobad, nó Anonn agus Ar Ais…
松岡圭祐『特等添乗員αの難事件 IV』(角川書店、2013) 特等添乗員αのシリーズ第4弾。主人公の浅倉絢菜(あさくらあやな)とフィアンセ、観光庁の壱条那沖(いちじょうなおき)との間にまたも深刻な危機が訪れる。それは那沖の婚約者だと名乗る藍岐瑠華(あ…
松岡圭祐『特等添乗員αの難事件III』(角川書店、2013) 特等添乗員αのシリーズ第3弾。主人公の浅倉絢菜のフィアンセ、観光庁の壱条那沖の周辺にある大問題が勃発する。果たして那沖はこの危機を切抜けられるのか。 こういう緊迫した主筋とは別に、絢菜の添…
松岡圭祐『特等添乗員αの難事件II』(角川書店、2012) 水平思考(ラテラル・シンキング)の添乗員浅倉絢奈が活躍する「αシリーズ」の第2巻。 本書は受験生とその親の合宿ツアーの添乗員としての業務で幕を開ける。途中のバス通過の難所も、宿舎到着後のさま…
コンビニのセブン・イレブンでしか売っていない『さだ語録』がセブンネットショッピングで売っていると分かり、本をいろいろ見ているうちに面白いことに気づいた。 ここでは『さだ語録』のサイン本も売っているのだ。のみならず、東山彰良の『流』までサイン…