『われらの音楽伝統』 Our Musical Heritage by Sean O Riada

Seán Ó Riada, Our Musical Heritage (Fundúireacht an Riadaigh, 1982; ed. with an introduction by Thomas Kinsella; Musical Editor: Tomás Ó Canainn)

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　ショーン・オ・リアダ（1931-1971）が1962年7月7日-10月13日に行ったラジオ講話を収める小著（楽譜附き）。絶版になって久しいが古書にて入手。彼自身がもたらすことになるアイルランド音楽における爆発的変化（Ceoltóirí Chualann 以降の音楽史）の前夜に行われた歴史的講話。

　「歴史的」ながら、今読んでも古臭いどころか、その愛国的問題意識はますます先鋭に我々に迫り来るものがある。（ピアノ・）アコーディオン奏者やケーリー・バンド団員で、これを読み怒り心頭に発せざる者あらんや。

　その一方、アイルランド語の無伴奏歌唱に関心ある者にとってはこれほど重要な本はないと言える。シャン・ノース歌唱における年次最高賞が「オ・リアダ杯」の名を冠せられている理由に得心のゆかぬ者も、この書を読めば理解できる。さらに、The County Bounds: Music and Song from the Cork-Kerry Border (Ossian OSS CD 113, 1999) のような卓抜な CD が、何故「ショーン・オ・リアダ会議」のライヴ録音なのかの理由もこの書で明快に分かる。

　この書を正当に評価するためには、彼がラジオでかけた録音（3枚の LP）を同時に聞く必要があるが、入手は（ほぼ）不可能〔ダブリンにある ITMA が所蔵するLPはその場で聴くことが可能〕。代替手段として、演唱者名や曲名をたよりに手許の（現行）音源を可能な限り聞いてみたが、譜例と必ずしも一致しないので、あるいは違う音源を用いたのかもしれない。〔ラジオ講話そのものが RTE ラジオで近年再放送された。RTE archive 2011, archive 2012〕[below: LPs with the same title, 1981(?)]

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　ショーン・オ・リアダは1931年、コーク生れ（他所の説あり）。リムリック県で育ち、フィドルで伝統音楽を奏することを習い覚える。コーク大学で学び、1952年、音楽士取得。1952-55年、ラジオ・エーランで音楽助監督。1955-62年、アビー・シアターで音楽監督。その後、家族と共に西コークのクール・エー（Cúil Aodha）に移住。1971年に他界するまでその地に住み、コーク大学で音楽を講じる。

　1957年から60年代半ばにかけて彼が作曲した現代音楽（〈ノモス〉など）は極めて高い評価を得たが、知る限りでは、そのいづれも音源も楽譜も現在入手不可能。1960年代初頭の映画音楽 Mise Éire は彼の名をアイルランド中に知らしめた。また、彼の作曲した教会音楽は、現在も音源楽譜とも入手可能。ミサでは彼の作曲した聖歌が今も使われる。

Introduction
1. Irish Vocal Music
2. Instrumental Music (on pipes, fiddle, flute, tin whistle, accordion and concertina)
3. Group Playing (also on bodhrán, bones, harp and harpsichord)
Coda

　第1章音源