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1491年当時のイタリアを舞台――チェーザレとレオナルドの邂逅も


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惣領冬実チェーザレ 破壊の創造者(2)』

 

 第1巻で衝撃を受けたシリーズだが、正直言って、この第2巻では、勉強になる部分もあるにはあるのだが、がっくりする面があった。

 一つだけ例を挙げる。「プリマヴェッラ」の表記は一体どうして? と首をかしげる。もちろん、ふつうは「プリマヴェーラ」だ。あのサンドロ・ボッティチェッリの名画「春」がどうしてこんな表記になるの。監修者は何のためにいるのと思わざるを得ない。

 イタリア語原典を活用したのはいいのだが、それを表記する際にイタリア語の発音とはかけ離れてしまうのでは、ふだんイタリア語に親しんでいる人は興ざめしてしまう。まことに惜しい。

 辛口になってしまったが、絵は相変わらず美しい。1491年当時のシスティナ礼拝堂の内部が復元されてカラーで描かれているのには、はっとする。ミケランジェロの「最後の審判」が描かれる前の天井が星空で、これは一見の価値がある。(巻末の対談によると、カラーの復元図というのは初めてらしい。)

 チェーザレレオナルド・ダ・ヴィンチとの出会いが描かれているのも興味を惹く。その他、当時の世相を手に取るように見せてくれる面白さはある。

 プロット的にはあまり進まず、今後に向けた仕込み部分が多いような印象を受ける。

 巻末には親切な用語解説と、監修者原基晶による『神曲』講義(学問的には「ボルジャ」が望ましいとちゃんと書いてある)、および作者惣領冬実と原基晶の対談が附いており、盛り沢山だ。その対談では、チェーザレの側近ミゲルをユダヤ人としたのは大胆な選択であったと明かされる。

 原典で『神曲』を愛読する読者には、どうしてもイタリア語でこれは堪えられないという部分があるが、この作品が面白くないというわけでは決してない。面白いのは確かだ。

 

チェーザレ 破壊の創造者(2) (モーニングコミックス)

チェーザレ 破壊の創造者(2) (モーニングコミックス)

 

 

 

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