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15世紀イタリアの傑物を活写する――チェーザレ伝の第1弾


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惣領冬実チェーザレ 破壊の創造者(1)』

 

 これは面白い。15世紀のピサの様子や、ピサの権力闘争の渦中にある人物群がみごとに活写されている。絵も美しい。典拠の資料もしっかりしている。

 ほとんど文句のつけようがないマンガだ。当時のイタリアに関心がある人はもちろん、スペインやフランスとの関係、教皇をめぐる人脈、軍事(特に馬との関係)などに関心がある人には大変興趣深く読めるのではないかと思う。

 今後の展開が楽しみ。

 「フランス」という国名と槍との関係の説は興味深い。チェーザレがその名をめぐるいさかいを、聖伝を引きつつ見事におさめるエピソードはおもしろい。

 「力量」virtù の語がひとつのキーワードになっている。そのほか、要所要所でイタリア語がふんだんに使われ、この時期の文物にイタリア語で接しているひとにも興味深く読める。

 この力量をそなえた典型的な人物の一人としてチェーザレ・ボルジア(1475-1507)がえがかれる。チェーザレ古代ローマカエサルのイタリア語表記だ。はたして、カエサルなみの活躍を見せるのか。

  

チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス モーニング)

チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス モーニング)