【データ】21世紀東欧のSFを集めた『時間はだれも待ってくれない』(東京創元社、2011)に所収の旧東独の作品「労働者階級の手にあるインターネット」は2005年刊の詳注版「労働者階級の手にあるインターネットー1997年のハプニング」(rlmdi.)を基にしている。
この詳注版は東京創元社版より一回り大きいA5判で40頁、腰巻き付き。ルビの付け方が東京創元社版とやや違っている。例えば、東京創元社版だとDDRの後に割注で(東独)となっているが、rlmdi. 版では東独へのルビがDDRというぐあい。好みにもよるが、概して rlmdi. 版のほうが読みやすい。
なんといっても注釈が rlmdi. 版のほうが大幅に詳しく、本作の理解を深めたい場合は、この版は一見の価値がある。例えば「韻律という芸術」(東京創元社版187頁)は一読して意味が分からないが、rlmdi. 版では「アダムチクの一文は Anschlag, Bombe, Chaot ... と、途中までアルファベット順になっている。」と注があり、少し理解が増す。
また「四月の天気が悪いわけではなく」(創元社版195頁)などもドイツ通でないとピンと来ないが rlmdi. 版ではちゃんとドイツの天気事情についての注がある。
入手は rlmdi. にて。