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三人のドノハ Donncha


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三人のドノハさん

 相当なアイルランド音楽通を自認する人でもちょっと難しそうなクイズを一つ。次の三人のドノハさんの違いは何でしょう。

  1. Seán 'ac Dhonncha
  2. Seán Mac Donncha
  3. Seosamh Mac Donncha

 発音はそれぞれショーン・アク・ゴノハ、ショーン・マク・ドノハ、ショーサヴ・マク・ドノハ。

 紛らわしい名前ですが、答えは、三人は全くの別人で、いずれもシャン・ノース歌手として第一級の名声を有する人たちです。出身地を挙げると、それぞれアン・アールド・ヒーアル(カールナ)、レチル・アールド(カールナ)、アン・アールド(カールナ)と、小さなカールナ村の三箇所であり、部外者には殆ど見分けがつかない。

 二番目と三番目の人は別名のほうがよく知られているかも。二番目の人はジョニー・ワールティーン・ラリー、三番目の人はジョシー・ヒョーン・ジャック。この二人には、どちらも何度も会ったことがあるので、声を聴くだけで分かります。一番目の人は1996年に亡くなっています。この人にも別名がありますが、ややこしくなるので止めておきます。

 オ・リアダ杯関連の受賞について触れておくと、ショーン・アク・ゴノハ(1919-1996)は1953年に、同杯の前身に当たる金メダルを受賞。ショーン・マク・ドノハ(1937- )は同杯を1985年に受賞。ショーサヴ・マク・ドノハ(1943- )は1971、78、82年の三度受賞。オ・リアダ杯を三度受賞した人は史上四人しかいない。大変な偉業です。

現在、最も有名なドノハさんは?

 現在、最も有名なドノハさんはレチル・モール出身のマールティーン・マク・ドノハ(Máirtín Mac Donncha)でしょう。一般には RTÉ の司会者のマールティーン・トム・ヒョーニーン(1955- )として知られています。オ・リアダ杯は1983年と85年の二度受賞しています。彼には2005年11月5日、コークで突然話しかけられて驚きました。エラハタス会場では彼のお兄さんが私の左横の席でした。同会場は一種の「アイルランド語特区」で、英語をしゃべる人は殆どいません。そのお兄さんは私に最初、マールティーンの兄弟だと言ったのですが、お兄さんですかとアイルランド語で問いかけたらそうだとうれしそうに答えていました。

 マールティーンの祖母(父の母)はモーィレ・ニ・ワーレ(Máire Ní Mháille, Bean Sheáinín Sheáin Mhóir Mhic Dhonncha)という著名な歌い手で、オ・キャラ神父による有名な歌集中の歌の多くは彼女から収集したものです。それから、'Amhrán Mhuighinse' という著名な歌を作ったのはマールティーンの一族の人です。ちなみに、マールティーンは2005年11月7日に50歳の誕生日を迎えたのですが、5日のエラハタス会場では彼をびっくりさせようと突然バースデー・ケーキが出てきて皆で〈ロー・ブレヘ〉(英語の〈ハッピー・バースデー〉と同じ節)を合唱しました。会場内は一種の家族のような暖かい空気に包まれました。

 

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Máirtín Tom Sheáinín [source: Vicipéid]