Come West along the Road (RTÉ RTEDVD99) 〔第1集〕
アイルランドRTE放送局の人気伝統音楽番組 'Come West along the Road' のシリーズから精選したもの。ホストはニコラス・カロラン(最近までダブリンのアイルランド伝統音楽資料館 ITMA の館長だった)。
第一印象は、「一家に一枚」級の DVD だということだ。
いや、冗談じゃなく、アイルランド音楽に関心のある人なら、初心者であろうと専門家であろうと、ダンス好きであろうと、歌好きであろうと、バンド好きであろうと、必ず得るところがあるお宝映像集である。よくも、これだけ珍しい映像を発掘し、きちんとデータを添えてくれたと思う。
Rod Stradling は音質が酷いといっていたけれど、そんなことはない。けっこう低音が出ていて、マイクが拾った足踏みの音がノイズと聞こえたんじゃないか。けれど、大らかにこんなもんだと思っていれば何の気にもならない。実際、リールやジグを聴いて足がムズムズしてこないほうがおかしいから。
この DVD はニコラス・カロランがプロデュースしているだけあって、目が隅々まで行き届いた編集。あの傑作 Seoltaí Séidte もニコラスの解説がすばらしかったが、ともかく、ニコラスがかんでいるものは何でも間違いがない。
印象に残る映像を挙げだすとキリがないので、一つだけ。一番楽しみにしていたニクラース・トービーンは、唄っている場面が5秒くらいしかなく、あとは他の映像が映る。これにはがっかりだけど、歌そのものは申し分なし。唄っている部分が全部映っているショーン・アク・ゴノハと併せ、歌好きにはたまらない。
歌といえば、名歌 'Casadh an tSugain' の Siamsa による劇化は非常に面白い。もっともっと見たい。
〔DVD 'Come West along the Road' のシリーズは第3集まで出ている。DVD に収められていない部分が YouTube で見られる。〕