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アメリカ文学史2選(米文学史)


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 本当は3つ選んで『総説アメリカ文学史』(研究社、1975)も加えるべきだろう。しかし、さすがに40年前の本なので最近の文学に対応できない。これについては他日にゆずるとして、いまも読むに耐える米文学史を2つ選ぶ。 

コロンビア米文学

 エモリー・エリオット編『コロンビア米文学(山口書店、1997)は定評ある原著 Emory Elliott ed., Columbia Literary History of the United States (1988) の全訳。

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 最大の特徴は各項目をその分野の第一人者がたっぷり執筆していること。原著は1980年代の初期に構想が練られ、米英の専門家72人の協力を得て5年がかりで完成された。

 編者の言にいわく、「合衆国の文学遺産についての総合的な分析と現時点での評価が提示されて」いる。初期のアメリカ・インディアンやピューリタンの記録から、原著が印刷された1987年時点の著作や映画に至る広範囲の研究が収められている。

 1700ページほどある大冊。巻末の索引が大いに助けになる。

 やや入手困難かもしれないが、探し出してでも読む価値はある。

アメリカ文学

 巽孝之アメリカ文学史 駆動する物語の時空間』(慶應義塾大学出版会、2003)は気鋭の研究者による単著。帯に〈アメリカ文学史を「ロード・ナラティヴ」として読み直す!〉とあり、心意気をよく表す。

文学史の物語学」を標榜する意欲作。序文に1853年という年の象徴的な意味について書いてある。

一八五三年、アメリカ・ロマン主義文学を代表するハーマン・メルヴィルが近代都市の皮肉を描き出した傑作中編小説「代書人バートルビー」を発表したまさにこの年に、マシュー・ペリー提督の指揮する黒船が浦賀に来航し、我が国の近代が始まった。仮に「近代」がアメリカ的価値観とほぼ同義であり、それこそがミシェル・フーコーのいう、たかだか二百年あまりの歴史しかもたない「人間」の形成に重なるとしたら、ひとまずアメリカを受け入れることが開国日本における英学の起源を成したという前提も、さほど逆説的には響くまい。

 ものすごく刺激的な書き出しだ。ことほどさように、刺激にみちた文学史

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