Merriam-Webster's Advanced Learner's Dictionary (Merriam-Webster, 2008/09)
Kindle で使える英英辞書は少なくない。Kindle リーダを購入すると同梱されている Oxford Dictionary of English や The New Oxford American Dictionary 以外にも、The Essential American Heritage Dictionary (語源を省いたことで評判がよくない)や Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, 11th Edition (語源が充実していると好評、語義を古いほうから並べる歴史原則を採用)など。
これらは母国語話者のための辞書で、それなりの長所短所がある。達意の語釈の一方、その言語で生まれ育っていない外国語話者には文脈や背景が理解しにくい場合がある。
それを補うのが、学習者向け、外国語話者向けの 'Learner's' と附く辞書だ。これも Kindle 用に複数出ている。Merriam-Webster's Advanced Learner's Dictionary や COBUILD Advanced Learner's Dictionary Kindle-only Edition (単語の用法別ラベルが詳しいが、詳しすぎて分かりにくいかもしれない)、また Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th edition (語尾の活用に対応していないと不評)など。
誰もが求める最低限の要件
Kindle の辞書で誰もが求める最低限の要件は次のものだ。
- 活用に対応している
- ポップアップ画面に収まるくらいの語義
1. は動詞や名詞の活用形のままで見出し語にたどり着けることで、必須の要件だ。
2. は Kindle リーダで単語を長押しした時にポップアップする小さな画面に収まるくらいの簡潔さということ。スクロールさせると見にくいので。
学習辞書で重要な点
これに加え、学習辞書の場合は、つぎの点も重要だ。
- 語義が分かりやすい
- 用例が参考にしやすい
以上のことを考えあわせると、Merriam-Webster's Advanced Learner's Dictionary は中々いい線を行っている。
実際に引いてみる
ちょっと一例を挙げる。例えば 'resilient' という単語を引いたとする。iPad での画面だと次のように見える。
非常に見やすい。何か不運があっても立ち直る力があるというニュアンスが、語義や用例を読んでいると分かってくる。
ところで、この単語の項を読み終わってふと下を見ると 'resin' という次の見出し語が見える。樹脂を意味することばだけど、その説明の最後(右半分の真ん中辺)に 'ROSIN' と比べよと書いてある。で、そこをタッチすると、'rosin' の画面に移る。
'sticky substance' (ねばねばする物質)という説明が共通しているので樹脂に似たものだと分かるが、ヴァイオリンの弓に使うと書いてあるので、ははぁ、「松脂」じゃないのと思いつく。そこで、 'rosin' をタッチして、入れてある『英辞郎-K』をポップアップさせると、果たして「松やに」とある。
という具合に、Kindle に Merriam-Webster's Advanced Learner's Dictionary と『英辞郎-K』が入れてあれば、同梱されている辞書と併せ、中々使い勝手がよい。