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災害医療に悪意をいだく人間の登場


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菊地昭夫『Dr.DMAT~瓦礫の下のヒポクラテス~ 4』

 

 災害医療(災害現場で施す医療)をめぐるドラマを描く漫画シリーズの第4巻。

 TVシリーズも放送されたが、登場人物の内面を深く掘下げた描写は、こちらの漫画のほうに軍配が上がる。特に、主人公の内科医・八雲響や、そのまわりの人物たちの心の動きがじっくり読取れて、余韻が深い。TVのほうは決められた時間内にドラマを進行させる必要から、内面性を味わうところまで行かない。

 都心の映画館に毒物を撒くという犯行予告があり、実際に事件が発生する。その映画館では八雲の幼馴染の吉岡凜がたまたま映画を観ていた。

 全東京DMAT(災害時派遣医療チーム)に出動要請が出る。東京は世界で唯一、化学テロ攻撃を受けた経験のある都市ゆえ、備えは充実している。だが、何かがおかしい。

 現場で対応を進める中で、いっこうに薬物が検出されない。パニックを引起すことそのものが目的なのかと、対策本部は疑い始める。

 一人の悪意の前に災害医療など、簡単に崩れ去ることを犯人が実証しようとしているとすれば。

 テンポに緩急があり、読みごたえがある。 

 

Dr.DMAT~瓦礫の下のヒポクラテス~ 4 (ジャンプコミックスデラックス)

Dr.DMAT~瓦礫の下のヒポクラテス~ 4 (ジャンプコミックスデラックス)