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言葉がいらないほど共感を抱いたときというのは、磁力線が生じるようだと泉水子は考えた


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荻原規子『RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日』(角川文庫、2011)

 

承前)鳳城学園でおこなわれる学園祭の戦国イベントの準備過程。その中で浮かび上がる真響(=忍法体術)と高柳(=陰陽道)の争い。どちらがトップとなり、世界遺産候補に認定されるか。人類を救おうとする姫神の願い。

 RDG第5巻はついに始まった「戦国学園祭」の二日間をえがく。鈴原泉水子(いずみこ)は、生徒会執行部として黒子に徹し、催しの裏方に徹しているはずが、思わぬところに高柳らの罠があり、はまってしまう。これまでの泉水子だと絶体絶命というところだ。

 が、この不当な事態に泉水子は怒りが抑えられなくなり、何かが目覚める。能力の顕現といってもいい。このギア・チェンジが最大の見所で、RDGシリーズをこれまで読んできたひとは、ここで唸らされるだろう。

 物語の真の主人公である泉水子がついに本来の姿を現す。それは痛快な出来事であるとともに、危険なことでもある。周りにいる友人や親や味方や敵など、すべての者にとって。大げさなようだが、それはグローバルな意味を持ち始める。人類の未来に関わるからだ。

 その点では、高柳の指摘は意味をもってくるかもしれない。これからは東西の垣根をなくし地球規模の思想で取組むべしといい、こう語る(第3章「迷走」)。

それぞれの土地で別々の神々に祈っても、同じように霊を動かす人間が存在する。その意味を考えるんだ

   真の目覚めを経た泉水子は人間としても殻を破る。挫けそうになったときに相楽深行が来てくれたことを泉水子は誠心誠意うけとめ、深行の側も信じる訓練をせねばならないと思う。そこに「気持ちのいい沈黙が降り」る。相手との共感は磁力のように引き寄せる力がある。

 

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