〔蔵出し記事 20050908〕
シャン・ノース・シンガーのイアルラ・オ・リナード (Iarla O' Lionaird) の新作 Invisible Fields 発表会が2005年8月に行われたが、それに関する記事がフィナンシャル・タイムズ電子版 (FT.com September 7 2005) に載った。変わった媒体に載ったなと思い読んでみると、中身も非常に変わった記事であった。
記事はまずその発表会が行われたイングランド南西部の村ボックス Box にある Real World レーベルのスタジオの記述から始まる。これはピーター・ゲーブリエルの Box プロジェクトによって作られたスタジオで、ある意味でエコ思想をつきつめたスタジオの極致である。建てたのは、グリーン・アーキテクチャの方面では知らぬ人がないらしい Frielden Clegg Bradley チームである。
[The Wood Room, Real World Studios in Box, Wiltshire; source]
記事は次第に、創造的活動のために必要なスペースの話になり、最後には TAZ (the temporary autonomous zone) という一種の秘密空間のことまで触れられる。全体として、シャン・ノースの録音といかなる関わりがあるのか、私の頭では理解できなかったが、奇妙に印象に残る。同記事に引用されたジョーゼフ・キャンベル (Joseph Campbell) の、正気を保つための要件についての言葉を引いておく。
"You must have a room, or a certain hour or so a day, where you don't know what was in the newspapers that morning. . . This is the place of creative incubation . . . If you have a sacred place and use it, something eventually will happen.
このキャンベルは有名な米国の神話学者のこと。この引用は The Power of Myth (1988; 没後出版) から。