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迷子になったちびフクロウ


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クリス・ホートン『ちょっとだけまいご』(BL出版、2012)



 アイルランドの作家クリス・ホートン(Chris Haughton)の絵本第一作『ちょっとだけまいご』 A Bit Lost は迷子になったちびフクロウの物語だ。20か国語に訳されており、8か国で10の賞を受賞している。この絵本はなぜこれほど人気を博しているのだろうか。

 確かに、動物たちの絵はかわいい。迷子になったフクロウの子が母を求めて旅する物語には普遍的に共感を呼ぶ要素がある。だが、それだけでこれほど世界で評価されるだろうか。そこには子どもたちに訴えかける特別の魅力があると私は考える。

 ちびフクロウをはじめ、動物たちの目がいい。絵本を手にとる子どもはまず表紙のちびフクロウの目に引きつけられる。このちびフクロウが迷子になったらどんな苦労をするだろうと、読む前から同情心をかきたてられる。絵本ならではの訴求力も生かされている。半分の大きさのページをめくることで思いもかけないシーンが現れる仕掛け、最後の場面で紙面いっぱいに描かれる母子の姿が倍加する感動など。これらは効果的だ。

 ゆえに、この大きさの絵本にして初めて味わえる読書体験が子どもに特別の愛着を生じさせると私は考える。


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