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米国のアイリッシュ・ピアニスト、ドナ・ロング のソロ第1作


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Donna Long, Handprints (Own Label, 2003)

 

 米国のアイリッシュ・ピアニスト、ドナ・ロング のソロ第1作。

 チェリッシュ・ザ・レイディーズ (Cherish the Ladies) での活動で知られるが、ソロになると、通常のアイリッシュ・ピアノの予想をくつがえし、まったくブンチャ、ブンチャではないピアノを弾く。フィドルなどと共演するとブンチャは現れるが。

 ふつうのアイルランド音楽ファンが聞けば、おそらくフィドルと共演している4つのトラックが聞きやすいだろう。だけど、ピアノ・ファンが聞けば、それ以外の7つのトラックにおけるソロ・ピアノのほうがおもしろいかもしれない。

 初めのうちはタイム・ドメインではない音響装置で聴いていたところ、どうもドナの自宅のピアノというカワイの音が鳴っていないように聞こえた。中低音域が濁っており、調律が悪いのか、録音が悪いのか、ピアノが悪いのかなどと思った。ところが、タイム・ドメイン・ミニで聴き直すと印象が少し変わる。欠点と思えた部分は遠景に去り、音楽そのものが浮上がってくる。ということは、ドナの手許ではこういう音で鳴っていたのだ。

 で、それをもとにすると、ドナのソロ演奏はリリカルで、トラック6でのジェームズ・ケリーのフィドルとの共演も非常に好ましく聞こえる。特にこのトラックのジグ3曲はケリーからまなんだというだけあって、息はぴったりである。

 それでも、トラック9 'My Lagan Love' などを聞くと、やっぱり、もっといいピアノで、いい録音で聞きたかったという思いはぬぐえない。このピアノは倍音成分が不足していて、この曲のように複雑な和声が鳴るときはやはり役不足の感が否めない。

 

参加アーティスト――

  • Donna Long (p)
  • James Kelly (fiddle)
  • Jesse Smith (fiddle) 他

 

評価―― ★☆
*1

 

 

Donna Long and James Kelly Part 4

www.youtube.com

 

*1:評価は五つ星を最高とする尺度によっており、星の数による意味は、「★ 良い点をさがすのが困難」 「★★ かなり良い」 「★★★ 第一級(年間ベスト・アルバム・クラス)」 「★★★★ 群を抜いてすばらしい、すごい、数年に一枚出るか出ないかのクラス」 「★★★★★ 大傑作、不朽の名盤、その分野の古典と呼ばれるに値する」です。つまり、通常、「最高」と呼ばれるようなものは三つ星です。