Festival Interceltique de Lorient (France Télévisions DVD, 2002)
フランス西部ブルターニュのロリアンで毎年10日間にわたり開かれているインターケルティック・フェスティヴァル(フェスティヴァル・アンテルセルティク・ドゥ・ロリアン)のDVD。本 DVD はリージョン2の PAL でフォーマットは 1.33:1。
ケルト諸語圏に属する地域の芸術家らが一同に集う催しだが、本 DVD はそのうち音楽部門の1999、2000、2001年の演唱のなかから17を選んでおさめたもの。
参加地域は地元ブルターニュをはじめ、アイルランド、スコットランド、ガリシアなどいろいろの地域がふくまれる。
映像の質はどれも高いが、音質はものによる。いくつかのトラックはすばらしいが、いくつかはそれほどでもない。特に、ピックアップをもちいたフィドルやフルートの音がひどい場合があるが、これはミクシングや音響処理によるものか、音楽家の責任なのかは不明。マイクでひろった楽器の場合は概して良好。
附録としてボンバルドやガイタなど特徴的な楽器の説明があるが、これはすばらしい。
本編の17トラックに登場しないアーティストが短い演奏を聞かせる場合が多いが、一見の価値がある。ほかに、高名な Le Fest Noz をはじめ、パレードのもよう、 コルヌミューズやバガドのコンテスト風景なども少しおさめられている。
収録曲――
- Alan Stivell: Back to Breizh
- Capercaillie: Tree
- Sharon Shannon: Bungee Jumpers
- Didier Squiban: Jackie's Tune
- Denez Prigent: E Trouz ar qêr
- Xose Manuel Budino: Alrededor
- Altan: Tá Mé Mo Shuí
- Luar na Lubre: Camariñas
- Gaelic Storm: Johnny Jump Up
- Alasdare Fraser: Skydance Reels
- Iron Horse: A Bhean Ladaich
- Brolum: Paul McGadden's Gig
- Karan Casey with Michael MacGoldrick: Ballad of Accounting
- Merzhin: L'Hacienda
- Les Trompettes du Mozambique: Breizhier
- Tri Yann: I Rim Bo Ro
- The Chieftains: Medley
参加アーティスト―― 上記曲目参照
ほかに、楽器紹介セクションで短く登場するアーティストとして、Kathryn Tickell (Northumbrian pipes), Natalie McMaster (fiddle), Liam O'Flynn (uillean pipes), Martyn Bennett (small pipes), Josick Allo (bombarde), William Morrison (bagpipes), An Triskell (Celtic harp), Carlos Nuñez (gaïta), Les frères Morvan (voice).
評価―― ★★
ベスト・トラックはカラン・ケーシーの 'Ballad of Accounting'。このアレンジはカランのソロ第一作と同じだが、ユーワン・マッコールの原曲とはよほど雰囲気が異なる。ソロ・アルバムでのアレンジはジョン・ドイルとシェーマス・イーガンとカラン・ケーシーとによるが、リズムのアイディアはドイルではないか。ここでのマクゴールドリックのフルート(マイクでひろっている)もすさまじい。ライヴならではの迫力がある。
一言書き加えるが、どうしたわけか、DVD のパッケージにも中身にもカラン・ケーシーの名前がクレジットされていないのは不手際というほかない。
ほかに、トラック3、4、15、16は出色の演奏。さまざまの音楽スタイルが聞かれるが、全体を見終わると、ブルターニュ特有の空気がボンバルドやコルヌミューズやバガドの響きとともに強く印象にのこる。
*1:評価は五つ星を最高とする尺度によっており、星の数による意味は、「★ 良い点をさがすのが困難」 「★★ かなり良い」 「★★★ 第一級(年間ベスト・アルバム・クラス)」 「★★★★ 群を抜いてすばらしい、すごい、数年に一枚出るか出ないかのクラス」 「★★★★★ 大傑作、不朽の名盤、その分野の古典と呼ばれるに値する」です。つまり、通常、「最高」と呼ばれるようなものは三つ星です。