Tigh Mhíchíl

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真に現代の名人の名に値する歌い手(2001年のオ・リアダ杯受賞者)


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Meaití Jó Shéamuis Ó Fátharta, Bóithríní an Locháin: Sean-Nós Songs from Connemara (Cló Iar-Chonnachta CICD 154, 2003)

 

 コナマラの男性アイルランド語歌唱の雄、マティ・ジョー・ヘームィシュ・オ・ファールタ。

 2001年のオ・リアダ杯受賞者。

 収録曲(斜体は器楽曲)――

  1. Baile Uí Lí
  2. Lá Féile Cáilín
  3. An Buachaill Caol Ard
  4. Ríl Imelda Roland, Ríl an Ghleanntáin (reels, flute)
  5. Nóirin mo Mhian
  6. Amhrán Pheter Mhicil Báille
  7. Seicín an Dole
  8. Joe Mháire Mhicilín, Bodóga Chonnacht (reels, lilting)
  9. An Sagart Ó Domhnaill
  10. An Deoraí
  11. An Fear Ceoil
  12. Ríl Lucy Campbell, Bean an Tí ar Meisce (reels, uilleann pipes)
  13. Patrick Sheehan
  14. An Bhó Bhán
  15. Inis Barr an Chuain
  16. Aistear go hÁth Luain, Cos na Lachan (jigs)
  17. Bóithríní an Locháin

 参加アーティスト――

  • Meaití Jó Shéamuis (vocals, lilting, flute, uilleann pipes) 他

 評価―― ★★★★
*1

 

 ベスト・トラックは 'Bóithríní an Locháin'. たとえば、この歌におけるスピード感は近年の歌い手の中では非常に珍しい。この歌のやや短いヴァージョンのライヴ録音が Cumar (CICD 141) で聴ける。これもすばらしい。

 昔のシャン・ノース歌手は今の歌手よりもテンポが速かったと言われているから、これが、より古いスタイルなのだろう。

 装飾音 (ornamentation, embellishment) の観点からいうと、このほうがはるかに歌うのが難しい。しかも、コナマラ流のシャン・ノース歌唱では特に装飾音の附け方こそが、歌の生命線である

 その意味では真に現代の名人の名に値する。

 

*1:評価は五つ星を最高とする尺度によっており、星の数による意味は、「 良い点をさがすのが困難」 「★★ かなり良い」 「★★★ 第一級(年間ベスト・アルバム・クラス)」 「★★★★ 群を抜いてすばらしい、すごい、数年に一枚出るか出ないかのクラス」 「★★★★★ 大傑作、不朽の名盤、その分野の古典と呼ばれるに値する」です。つまり、通常、「最高」と呼ばれるようなものは三つ星です。