勝谷誠彦さんの本日付の日記はいつもながら名文だ。段落を区切りもせず一気に書いてあるように見えてよく考えよく推敲してある。何が心を打つといって文章に魂が籠もっている。千字の言の葉。
ドンムアン空港にむかって高度を下げると川底の泥が舞い上がるような雲の中で水滴が窓を駆け上がる。夕暮れのバンコクのそれは無数の魂が空に還っていくようで、私は少し、泣いた。
私もこの空港に降り立ったことはあるかもしれない。屋台のヌードルの想い出だけがある。西洋暦2004年はタイ仏暦では543加えて2547年か。天空と地上との間に交わされる気象を見て魂に想いを馳せるこの人は忙しい日常の中で心は澄んでいるに違いない。