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Morpurgo, 'Cockadoodle-Doo, Mr Sultana!' を読む


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Michael Morpurgo et al., Magic Beans: A Handful of Fairytales from the Storybag (David Fickling Books, 2011)



 Michael Morpurgo, 'Cockadoodle-Doo, Mr Sultana!' を読んで天性のストーリーテラーの才に舌を巻いた。

 元のおとぎ話のモーパーゴによるリトールドものだということだけど、この語り口のうまさに参った。挿絵が Michael Foreman で、単行本版と違うけれど、小粒でピリリとした味わいがある。

 スルタンの治める東洋の国の話。民から絞り上げて宝を貯めこみ、たらふく食って五人分のベッドに寝るくらい太っている。

 ある日、狩りに出た時にチョッキのボタンを落としてしまい、スルタンは怒り狂う。ボタンといえど、ダイアモンドのボタンなので大切な宝の一部なのだ。

 一方、貧乏な農婦が小さな赤い雄鶏を飼っていた。他に飼っている雌鶏や雌ヤギがおとなしく家に入っているのに、この雄鶏は独立独歩で、家に縛られるのが嫌で、隙あらば外の世界を探求したいと思っている。

 この雄鶏がたまたまスルタンの落としたボタンを見つけて、くわえているところへ、スルタンらボタン捜索隊がやって来る。スルタンは自分の物だから返せというが、もちろん雄鶏は返さない。高らかに 'Finders keepers.' (拾った物はわが物)と言い放つ。

 すったもんだのすえ、雄鶏が落としたボタンをスルタンの召使いが見つけ、スルタンにわたす。

 ところが、これで諦める雄鶏ではない。夜ふけに宮殿のスルタンの部屋の窓にとまり、大きな声で鳴く。'Cockadoodle-Doo, Mr Sultana' と(コケコッコー、スルタナ殿〔「スルタナ」はスルタンの女性形で、スルタンには侮蔑的にひびく〕)。起きたスルタンに対し、ボタンを返せと言い立てる。

 ここからが物語の始まりで、雄鶏を捕えたスルタンはありとあらゆる刑罰を課すが、その度に雄鶏は窓辺へ舞戻り、ボタンを返せと言い続ける。

 この間の両者の攻防が奇想天外で、強靭な知恵を発揮する雄鶏の活躍ぶりが痛快だ。

 単なるドタバタ喜劇でなく、雄鶏が農婦を想うやさしさにも、ほろっとさせられる。極上の面白さだ。

 スルタンの雄鶏に対する刑は水責め、火責めから、スルタン自身の巨体による押潰しの刑にまで至る。雄鶏はどうやってこれらの絶体絶命の危地を脱出するのか。


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