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Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

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Sean-Nos in the USA (3) Three Styles

(承前:米国におけるシャン・ノース歌唱事情――いかに録音が少ないか。しかし、優秀な歌い手は現に存在する。例えば、ボストンの Bridget Fitzgerald と Sally Coyne。) 例えば、ノヴァスコシア(カナダ南東部の州)では土地柄スコットランド・ゲール語がさ…

Sean-Nos in the USA (2) Boston

(承前:米国におけるシャン・ノース歌唱事情――いかに録音が少ないか。しかし、優秀な歌い手は現に存在する。) 例を挙げよう。 たとえば、ボストン。ここには、Bridget Fitzgerald と、その姉妹 Sally Coyne という素晴らしいシャン・ノース歌唱者がいると…

Sean-Nos in the USA (1) Irish Communities

米国におけるシャン・ノース歌唱事情に少しづつ触れてみる。 アメリカのあちこちにアイルランドからの移住者たちが築きあげた共同体があることはよく知られている。例えば、ボストン、シカゴ、シアトル等々。多くは英語を使用して職に就き生活してきたが、中…

今年のオ・リアダ杯はガロージーン・ヴラナハ

速報。ガロージーン・ヴラナハ(Gearóidín Bhreathnach、写真)が 1996 年に続き二度目のオ・リアダ杯を獲得(Corn Ui Riada buaite ag Gearoidin)。二位は Brian Ó Domhnaill (Turas Teanga の番組では名シェフとして登場)、三位は Ciarán Ó Con Cheanna…

Quinn 説への O Laoire の反論(5)

クィン(Bob Quinn)が攻撃したオ・リーレ(Lillis Ó Laoire)の議論を振返っている。アイルランドの雑誌 JMI の2003年1/2月号に掲載された議論の続き。 クィンが至高の価値をおくコナマラのシャン・ノース歌唱の核心は装飾音(ornamentation)である。これ…

Quinn 説への O Laoire の反論(4)

クィン(Bob Quinn)が攻撃したオ・リーレ(Lillis Ó Laoire)の議論を振返っている。アイルランドの雑誌 JMI の2003年1/2月号に掲載された議論の続き。 アイルランド伝統歌唱が非西欧の起源を有することがなぜ偉いということになるのか。これには歴史的経緯…

Quinn 説への O Laoire の反論(3)

クィン(Bob Quinn)が攻撃したオ・リーレ(Lillis Ó Laoire)の議論を振返っている。アイルランドの雑誌 JMI の2003年1/2月号に掲載された議論の続き。 コナマラのシャン・ノース歌唱が北アフリカやタタールと類似しているというクィンの主張に対して、オ・…

Quinn 説への O Laoire の反論(2)

クィン(Bob Quinn)が攻撃したオ・リーレ(Lillis Ó Laoire)の議論を振返ってみる。これがそもそもの発端だった。中身はフランスのレーベルが出した二枚のコナマラのシャン・ノースCD*1の批評である。アイルランドの雑誌 JMI の2003年1/2月号に掲載された…

Quinn 説への O Laoire の反論(1)

アイルランドのシャン・ノース歌唱の起源に関するボブ・クィン(Bob Quinn)の説を見てきたが、それでは彼が攻撃しているリリス・オ・リーレ(Lillis Ó Laoire)の言い分はどうなっているのか。 今この時点に立ってみると、両者の違いはだんだん浮き彫りにさ…

起源に関する Quinn 説(6)

冷静に考えると、クィンの説はシャン・ノースから「ケルト幻想」を解毒するには、かなり有効である。 「ケルト」だけではない。一般にアイルランド(伝統)音楽から連想するような「心地よさ」と、クィンが支持するコナマラのシャン・ノース音楽とは対極に位…

起源に関する Quinn 説(5)

クィン説をめぐって昨年はじめアイルランドの雑誌 JMI で議論が沸騰したが、それについて私が書いた文章(2003年前半に執筆)を再録。 正統論争 なにがシャン・ノース歌唱の本流であるかという議論はながく続いていた。が、それが一般の耳目を集めるような舞…

起源に関する Quinn 説(4)

アイルランドのシャン・ノース歌唱の起源に関するボブ・クィンの説は証拠として貨幣を用いて、ヴァイキングがムスリム銀貨の差配人になっていたとする。その例はアイルランドやイングランドでも見つかるが、主たる例はバルト海の島ゴトランドにあるという。 …

起源に関する Quinn 説(3)

アイルランドのシャン・ノース歌唱の起源に関するボブ・クィンの説はコナマラと似た歌唱の地域をあげ、中世は「暗黒の時代」でないと指摘する。 コナマラのシャン・ノース歌唱と Volga Bulghars (Tatarstan)*1 との違いは言語だけである。両者とも pentatoni…

起源に関する Quinn 説(2)

アイルランドのシャン・ノース歌唱の起源に関するボブ・クィンの説は多方面にわたる。 一つは歴史。Siege of Baltimore*1 など。 一つは言語。Heinrich Wagner の説く基層言語*2概念など。 一つは宗教。初期アイルランドキリスト教に見られるグノーシス主義…

起源に関する Quinn 説(1)

アイルランドのシャン・ノース歌唱の起源に関する推論は大別して二つある。以下、ヴァレリの The Companion to Irish Traditional Music に基づいて考える。 一つは Seán Ó Tuama のフランス起源説。この説の場合、歌のジャンルにより多少違いがあるけれど、…

Sliabh na mBan

この歌は Déise Gaeltacht の 'big' song として著名である。この地域はウォーターフォード県からティペレアリ県にかけての一帯で、伝統的に歌の宝庫として知られる。メアリ・オハーラは第一連(ヴァーションによっては第二連)と最終連(ヴァーションによっ…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 8) <追記>

8行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Pill arís uirthi a shladaí, 's cha bíodh roinnt agam féin leat. (家にお帰りなさい、わたしはもうあなたとは関係ありません。) pill :帰れ uirthi :彼女のところに sladaí :略奪者 ← 軟音化して…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 7) <コメント>

7行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Ach má tá do bhean sa bhaile agat 's do leanabán a bréagadh, (でも、もし家にだまさねばならない奥さんや子どもがいるのなら、) má :もし do bhean :あなたの妻 sa bhaile :家に leanabán :小…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 6)

6行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Tharraing sé mo chroí istigh agus bhí sé aríst a shéanadh, (わたしの心を惹きつけたうえで、あとは知らんぷり、) tharraing :惹きつけた ← tarraing の過去形 mo chroí :わたしの心 istigh :内…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 5)

5行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Tá an rogaire a mo mhealladh 's tá an peacadh a dhéanamh. (あの悪党がわたしを誘惑し、罪なことがなされようとしています。) rogaire :悪党 meall :誘惑する*1 peacadh :罪 (今はふつうは peac…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 4)

4行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Ó is a Dhia nach bhfuil mo lóistín san áit a gcóireann sí leaba. (ああ、神よ、彼女がベッドを整えるところが私の住まいであったなら。) Dia : 神 ← 軟音化している(呼格) nach :(否定疑問動…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 3)

3行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Bhí a béilín mar bhéadh an rós ann is bhí a caoin-choim mar bhéadh an sneachta. (彼女の唇はバラのよう、細い腰は雪のようだった。) bhí :tá の過去 a :彼女の béilín :唇 mar :〜のよう bhéa…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 2) <追記>

2行目。アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 Sí ba (is) déise is ba bhreátha dar tógadh ariamh i mbaile, (町育ちの娘でこれほど美しくすばらしい娘はなかった、) Sí :彼女は (コピュラ + 女性三人称の disjunctive pronoun の形、is í) ba…

Ag an phobal Dé Domhnaigh (l. 1) <追記>

1行目。 Ag an phobal Dé Domhnaigh thug mé mór-chion don cháilín, (日曜のミサにあずかる信徒のなかで私はその娘が好きになった、) 発音は Doimic の録音を聞いてください。以下、アイルランド語の文法的事項のみ説明します。 ag :〜にて (前置詞) a…

Ag an phobal Dé Domhnaigh

それでは、Doimnic が2003年秋のエラハタスで オ・リアダ杯 の三位になった時の歌を聴きましょう。「大曲」だけど、他にはリリスくらいしか歌っていない。 Ag an phobal Dé Domhnaigh Ag an phobal Dé Domhnaigh thug mé mór-chion don cháilín, Sí ba (is) …

Doimnic のレパートリー6曲

Doimnic のレパートリー6曲がいまインターネットで簡単に聞けますが、もし、この中の歌で特に内容を知りたいというリクエストがあれば、聞こえる部分に関して、ぼくに分かる範囲で解説します。 Seachrán Charn tSiail Ar Maidin Dé Máirt Cearc agus Coileac…

Doimnic, Ciarán, Brian

現在、アイルランドの シャン・ノース男性歌手の若手で注目株を三人挙げるとすると、誰になるだろう。女性の場合と違って、これはちょっと難しい。一応、つぎの名前がうかぶ。 Doimnic Mac Giolla Bríde ドミニク・マク・ギラ・ヴリージェ (写真) Ciarán Ó…

Bríd, Caitríona, Róisín

現在、アイルランドの シャン・ノース*1 女性歌手の若手で注目株を三人挙げるとすると、誰になるだろう。ここでは若手を二十代までと設定すると、すぐにつぎの名前がうかぶ。 Bríd Ní Mhaoilchiaráin ブリージ・ニ・ウィルヒアラーン (写真) Caitríona Ní …