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Bob Malone: Malone Alone


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  • Bob Malone: Malone Alone (Delta Moon DMR 004, 2003)

 先にリオン・ラッセルの弾き語りのアルバムに触れた際、リオンの継承者の一人にニュージャージー出身のボブ・マローンを挙げた。
 現役のこの手のピアニストとしてはボブは最高の名手と思う。声はリオンと似て濁声。ピアノのスタイルはリオンに通じる面もあるが、加えて、ニュー・オーリンズやブルーズのイディオムも完全に消化しており、やれないスタイルはないのではないかと思えるほど。ギタリストでいうと、トミー・エマニュエルに比肩する技術を有するピアニストだ。
 このライヴ盤は完全な弾き語りで、ボブのピアノとヴォーカルとが堪能できる。さらに、曲間のしゃべりも笑わせる。
 多くは彼の自作曲だけど、トラック17 <Tangled Up in Blue> のようにボブ・ディランの曲もあり、それも中々いい。
 録音は1999年〜2002年、全米各地で。
 ボブ自身はここに収められた曲の本来のヴァーションはスタジオ録音盤(これまでに三枚出している)のほうだと言うけれど、この弾き語りこそがむき出しの一番かっこいいスタイルだとぼくは思う。ピアノが一番よく聞こえるしね。もちろん、スタジオ版のホーンやコーラス入りも素晴らしいけれど。
 関心があれば CD Baby や ボブ・マローンのウェブサイト で試聴ができる。
 ボブ・マローンを聞いていると、リオン・ラッセル以外に、ドクター・ジョンヴァン・ダイク・パークスランディ・ニューマンらの音楽や、さらにジャズやクラシックまで聞こえてくるような錯覚がする。つまり、アメリカ音楽のよき部分が殆どすべて詰まっているような音楽なのだ。生で見たい最右翼の一人。