スウェーデンのフォーク音楽の極北
[スポンサーリンク]
Susanne Rosenberg, ReBoot / OmStart (Playing With Music, 2010)
スウェーデンのフォーク・ソングの伝統と現在と未来とを見据えた研究成果であり、スリリングな実践でもあるCD。
kulning (北欧の牛飼い唱法)を含むさまざまな歌唱法を(ほとんど無伴奏か、ベルくらいの簡素な伴奏で)実現するだけの力を持った Susanne Rosenberg にして初めて可能となった。彼女は取組み中の博士論文のプロジェクトの一環として本アルバムを制作している。(現在はヘルシンキの Sibelius Academy とストックホルムの Royal College of Music で教えている。)
ものすごく実験的ともいえるが、同時に伝統に深く沈潜している感覚もある。非常に不思議なアルバムだ。聴いていて退屈でなく、まったく飽きさせない。
自分がいま、なぜ、こういうふうに唄っているのかを自覚し、意識し、あるフレージングのわけを知り抜いて、かつ、それを伝統に立脚しつつ、その宝庫の中から自在に取出して即興的にパフォームする。
性質上、いっさいオーヴァダブなし。すべてはスタジオでのライヴ演唱である。
存在すること自体がまれな歌唱アルバム。