横山秀夫、入魂の一作

横山 秀夫『64(ロクヨン)』(文藝春秋、2012) 横山秀夫が持てる小説技術を全部ぶち込んだ観がある。 書き方に唸らされた箇所が40以上あった。もともと「別冊文藝春秋」に11回にわたって掲載された長大な小説を、単行本化にあたり、全面改稿し、結果的に1451枚の書き下ろしになったという。 それだけの手をかけたのなら、…