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鍔に DEUS on the guard


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〔蔵出し記事 20060504〕

 江戸時代のキリシタン武士の存在を窺わせる発見があった。

 産経新聞大阪版2006年5月3日付より。

鍔に DEUS アルファベットで「DEUS(デウス)」と刻まれた江戸時代の刀の鍔を、大阪府藤井寺市の刀剣類収集家、梅本勤さん(56)が発見した。隠れキリシタンが所持していたとみられる珍品。鍔を傾け光に反射させないと見えない「隠し文字」になっており、周囲に気付かれないような工夫が見られる。〔中略〕
 鍔は長径 8.7 cm、短径 7.6 cm、厚さ 4 mm の銅製。大きさから太刀の鍔と推察され、武士が所有していた可能性が高い。
 柄は、円状の鏨を打ち込んだ「ななこ(魚の卵)」と呼ばれるもので、デウスの文字は、ななこ柄の上から、さらに鏨を打ち込んで刻んだとみられる。
 デウスはラテン語で神を表し、日本でも戦国時代末期に神を指す言葉として使われた。
 江戸時代の武具などにも詳しい岐阜県関市の美術考証家、芦沢清右衛門さん(75)は、「文字を刻んだ鍔は珍しい。文字が整っていないことから、刻んだのは別人だろう。所有した武士が自ら、あるいは別の金工師に頼んで文字を入れたのではないか」と話している。

 いまのところ、インターネット上に、この件に関わる情報はない。梅本勤さんには「隠れ切支丹鐔と十字紋」(「歴史研究」443号、1998)という論文もある。