マザー・グースに関する古典的名著
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Iona and Peter Opie, Oxford Dictionary of Nursery Rhymes (OUP, 1951)
マザー・グースに関する参照図書としては、Opie 夫妻の古典的名著 The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes (1951)を超えるものは、たぶん、ない。
あるとすれば、60ページほど増えた第2版(1998)くらいだろう。〔右の写真は第2版〕
収めてあるのは550篇のマザー・グース詩。
その550篇について、異版、初出データ、歌の起源、類歌などが学問的にきっちり押さえてある。図版も入っているけれど、その多くは関連するブロードサイド・バラッドなどの歴史的資料だ。
マザー・グースを研究しようとすればこの本がなければ始まらない。
研究してなにがおもしろいのか。知られざる過去が、マザー・グースの起源を探ると見えてくることと、そういう、いわくのある歌が今も歌いつがれており、英語の一部となっていること。そのあたりの興味だ。
知られざる過去は、ある場合には、恐怖を呼び起こす。もっとも有名な例は、あのだれでも知っている 'London Bridge' だ。なぜ、こわれても、こわれても、執拗にこの橋の建設をするのだろうか。このような例はイギリス以外の広い地域にも見られる。それはなにを意味するのか。
ふるい時代の暗くいまわしい儀式の記憶。それがおそらく、この遊びをする際のちょっぴりこわい感覚の底にあるのだろう。