今回は戦い。騎馬+弓のかっこよさよ
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森薫『乙嫁語り 6巻』(KADOKAWA/エンターブレイン、2014)
相変わらず、森薫の描く絵は美しい。いや、美しいだけでなく、その緻密な絵の深みは、物語の陰翳を際立たせ、さらに説得力を増している。とくに、濃い黒を基調として細密に描きこんだ絵柄には、惚れ惚れする。
この、絵と物語が奏でる中央アジア、その草原を駆けめぐる感覚は、圧倒的だ。
今回は、アミルの実家がバダン部族と組んで、アミルたちの住む土地を奪いにやってくる。総勢で百騎以上。しかも、バダンは、ロシアから大量の大砲や銃を提供されている。事実上、バダンはロシアの手先と化しているのだ。
アミルたちにとって、形勢は決定的に不利だ。アミルと、幼き夫カルルクの運命や、いかに。
今回、一番かっこいいのは、アミルの兄、アゼル。父親がバダンと組んだ愚を見抜き、戦況を的確に把握し、騎馬と弓という最高の機動力をいかんなく発揮する。知恵と力と勇気を兼ね備えた傑物で、この兄にして、この妹アミルあり、と深く納得させられる。
本作はマンガ大賞2014を受賞している。が、これだけのマンガを世界が放っておくはずがない。全米図書館協会「10代向けグラフィックノベル・ベスト10 2012」や、「アングレーム国際漫画祭2012」(フランス)の「世代間賞」も受賞している。