Altan @ Aiphonic Hall, Itami, 4 Dec 2015
[スポンサーリンク]
アルタン(兵庫県伊丹市アイフォニックホール、2015年12月4日)
伊丹市で行われたアルタンのコンサートについてのメモを少し。
メンバー
このメンバーになってからは初めて見た。アコーディオン奏者が Martin Tourish (Ciaran Tourish の甥)に代わった。ギターは Dáithí Sproule だった。あとは Mairéad Ní Mhaonaigh (vo, fiddle), Ciaran Tourish (fiddle, whistles), Ciarán Curran (bouzouki) の3人。
曲目
曲目は予定とは少し違っていた。変更箇所が貼り出してあったのは良心的。だけど、それにも載っていない曲もやった。
音響
音響について。担当の人を連れてきているようだけれど、始まってからしばらくはアコーディオンの音が埋もれていて、聞き分けるのが大変だった。前半の途中からよく聞こえるようになった。
後半に Ciaran Tourish が自分のフィドルの音より Mairéad の音の方を上げてというような合図を送っているのが見えた。
ダーヒーのギターの音は、ピックアップのせいかもしれないけれど、低音域が前に出ているのに反し、中音域が埋もれ気味。弾き方かな。
Ciarán Curran の音は終始すばらしい音質だった。これまでに何回アルタンのコンサートを見たか分からないが、彼に関しては一番よかったような。
という具合で、バランスや個々の音質、あるいはホールや音響装置による残響音など、必ずしも満足がゆかなかったけれど、全体としてはサウンドはまずまずだった。
曲紹介
曲紹介について。最後のアンコールでやった 'Far beyond Carrickfinn' について、誰かが「友達の父の死」と訳したのでがっくり。しみじみと自らの父フランシーの他界を唄ったマレードに可哀想だった。
この歌は、マレードの友達の Ian Smith と Enda Cullen が作った。二人の分担は分からないけれど、FKWS にも来ていた Ian Smith らしい繊細な曲つくりに思える。
マレードは曲を紹介するにあたり、この歌は父(フランシー)の死について、友達が作った曲です、と言ったのだが、それをごちゃごちゃに訳してしまったわけだ。
フランシー (Francie Mooney, Proinsias Ó Maonaigh, 1922-2006) が他界したのは2006年のことだが、フィドラーとしてまことに偉大な人だった。この父親と共にいるときのマレードは特別な感じがしたものだ。
歌詞の 'Stars lead the way, as your journey begins.' はおそらくマレードが父の死の夜に見た流れ星が希望のしるしと感じられたという体験を反映しているのだろう。
'The Unquiet Grave'
有名なバラッドの 'The Unquiet Grave' をダーヒーがひとりで唄ったが、知らない旋律だった。この曲は彼の Lost River, Vol. 1 (2011) というアルバムに収録されているが、伝統の歌詞に載せた自作の旋律のようだ。
一箇所だけ歌詞に聞き慣れないところがあったのだが、そこは同アルバムで確認すると 'Down in yonder grove, true love, / Where you and I did walk, / The prettiest flower that ever grew / Is withered to the stalk, / Is withered to the stalk.' と唄っていた。このような詩はチャイルド・バラッド78番('The Unquiet Grave')の6類型のいずれにも見られない。珍しいヴァーションが聴けた。