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アイルランド語と英語の辞書(電子篇)〔追記〕


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日頃、アイルランド語や英語に接する際に、お世話になっている辞書を、感謝をこめてちょっと挙げてみよう。

紙媒体が依然として最も有用な資源であることに変わりはないのだけど、実際には電子的なものにも相当助けられている。片っ端から挙げていくと長くなるので、今回は電子的なものに絞って書いてみる。

時間の比率でいうと、たぶん最もよく使うのが WinGléacht だ。中身は現代アイルランド語の標準的辞書 FGB*1 本文の語義部分(例文なし)プラス電子版独自の情報。これ、アイルランド語の初級者から上級者まで、お薦めできる。FGB 本文が詳しく読みたい時は本のほうに当たればよいのだけど電子版にしかない情報は貴重。見出し語を右クリックすると活用表が表示される。動詞なら各時制、名詞なら格変化といった具合。

つぎによく使うのは、同率で eDILfocal.ie だ。前者は古アイルランド語の辞書。言葉の歴史を辿ろうとする時の最高の辞書 Dictionary of the Irish Language が電子化されたもので、紙媒体より引きやすいと思う。後者は現代アイルランド語に関するデータベースで、国家的プロジェクト。最新の科学的話題を読書きする時など、すごく頼りになる。

ほかにもたくさんあるけれど、急いで英語に移ろう。が、英語については、知ってる人はよく知ってるのじゃないかと思う。私見では、いま最高の携帯電子辞書環境は iPod で手に入る。例えば、SOD や Webster 第三版が携帯できるのは iPod 環境しかない。さらにスコットランドの特徴豊かな Chambers や、訳語が抜群のロングマン英和も(専用機を除けば)、iPod 用しかないはず。言葉の歴史を遡ろうとしてラテン語やギリシア語が引きたくなっても iPod 用の辞書がある。もちろん、例えば SII 製の G10 が悪いと云ってるわけではなく、それはそれで素晴らしい。けれども、OED に近いレベルで引ける携帯環境は iPod 上にしかないのは事実だ。もちろん、PC があれば電子版 OED が使えるけれど。

が、実は時間の比率でいうと、最もよく使ってるのは Kindle に内蔵の辞書だ。英文を読むときにすぐに引きたくなったら、速さでこれに優るものはない。なにしろ、本文に辞書が埋め込まれているようなものだから。現行版では ODE と NOAD とが入っていて、どちらかを設定しておける。例えば、Tim Robinson の Connemara 連作のようなアイルランド特有の語彙が豊富な作品でも ODE なら、かなりヒットする。

駆け足で書いてきたけど、現状で満足なわけではない。アイルランド語についてはせめて WinGléacht 級のもので携帯できるものがほしい。Collins Pocket Irish の iPod 版は便利だけど、いかんせんポケット版辞書の限界がある。英語については、長年望んでることだが、OED を携帯したい。それに尽きる。


〔追記 20111017〕
英語の辞書について。SOD は現在 iPod/iPad アプリとしては入手できないようだ。このためだけでも iPod Touch を入手する価値があるくらいのアプリだけに残念。また、iPad への最適化もされていない。▽Webster 第三版は iOS 5 になって表示が乱れる。早急に改善してもらいたい。iPod でも iPad でも。▽Kindle に内蔵の辞書として ODE と NOAD との両方が使えるのは Kindle 本体と iPhone 版だけで iPad 版では NOAD しか使えない。ODE も早く搭載してほしい。


〔追記 20111112〕
Webster 第三版は修正され、iOS 5 でも表示が正常になった。実は、開発元に改善要求を送っておいたところ、可能な限り早く対処すると返事が来て、実際それからほどなく改善された。

*1:Foclóir Gaeilge-Béarla le Niall Ó Dónaill, 1977