An Gorta Mor <追記>
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この話題はあまりにも重過ぎるので書くかどうか迷ったけれど、アイルランド語に関心がある人には今後も恐らく避けて通れない話だろうから。
この 記事 は1月29日に予定されている追憶行事のために書かれている。何を追憶するかというと、アイルランド史を気にかけている人なら誰でも知っている、いわゆる「ジャガイモ飢饉」(1845-46 年)。ところが、この記事が主張するのは、そもそもこの言葉が間違いだということなのだ。「飢饉」(famine)と言ってしまうと、あたかも自然災害のように聞こえる。だけど、それは間違いで、An Gorta Mór (The Great Hunger) と呼ぼうということである。つまり、「大飢餓」だ。
用語の些細な違いとは言っていられない。なぜなら、言葉の違いは事の本質に関わるからだ。一方は、大凶作のイメジ。他方は、実は英国による意図的な大量虐殺ということになる。歴史観を覆すほどの差である。
後者の主張についてはこの サイト をじっくり読めば、誰でもしばらく沈黙せざるを得ない。このサイトの内容(英国軍の組織的関与)が虚偽であると反駁するためには、英国は「失われた」としている 1845-50 年の軍公式記録を公開せねばならないだろう。バーナード・ショーはこのことについて半分はおそらくは真実を書いているけれど、英国のせいだとは書かなかった。書いたらノーベル賞は取れなかっただろう。
なお、上の絵は誰が書いた何という絵かも知らないのだが、上記の記事のまとめイメジとして掲げられていたもの。なぜか、気になるので再掲した。
<追記>
アイルランド大統領が RTE ラジオのインタヴューで行った発言が連合論者に批判されている (関連記事)。その批判の論調が気になる。3月に Altan と来日する予定に影響がなければよいが。
この問題について本ブログで論じるつもりはないが、一言だけ。上記の An Gorta Mór 使用論者の主張が正しければ、英国は意図的にアイルランド人を百万人虐殺したことになる。だとすると、連合論者の批判は的外れであり、アイルランド大統領の発言は至極当然であるという他ない。