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祈りの力と病気について霊的成長の観点から論じる


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花咲 てるみ『なぜ祈りの力で病気が消えるのか いま明かされる想いのかがく』(明窓出版、2017)

 

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本書は祈りの力でなぜ病気が消えるのかをテーマにしている。

しかし、議論は祈りから始まらず、生れ変わりから始まる。転生を前提として、心に二つあること、体に二つあることを説く。

この冒頭からの議論は、人によっては、作者の思い込みをただ押しつけられるだけと感じるだろう。議論の運びが性急で、ピンと来ない人にとっては、ついてゆくことができない。

しかし、多少なりともこの種の議論に親しんでいて、ここで展開される概念になじみがあれば、理解はそう難しくない。

それよりも、祈りを問題にするのに、なぜ最初に転生のことを問題にせねばならないのかを明らかにすることが必要だろう。でないと、これらの概念に親しんでいる人でも、本書の存在意義が読んでいて分からないことになる。

第一章「心と体を知る」はそのように、転生と霊界のことを通じて魂のあり方を説く。本書のテーマに関係がありそうなことがやっと見えてくるのが

人間同士でも気持ちを伝えることは大切ですが、霊になっても同じです。姿は見えていなくても、わたしたちが送った感情は届きます。

のところだ(31頁)。つまり、霊とのコミュニケーションの存在のことである。

第二章「病気とは何か」で、病気を心が作りだしたと述べた後、第二の原因として、転生とからめてこう書く(77頁)。

もう一つの病気の原因は、今世または過去世で作ったカルマです。



第三章「宇宙」で、神社仏閣に参る時の心の整え方を書く。また、自宅で静かな時間を持ち、祈るための呼吸法についても書く。著者によれば、「息」とは「自らの心」である。ここに書いてある呼吸への意識の向け方はマインドフルネスのそれと少し似ている。

第四章「すべての答えはあなたの中にある」で、現実の背後にある広大な目に見えない世界を知るには、心の中にある扉の鍵を開ける必要があると書く。霊的成長の観点から、物質的なことを優先するのでなく霊的なこと、特に家族や仲間と愛情を分かち合うことを最優先課題として生きるべしと書く。

本書はこの後、第五章「認知症を知る」、第六章「祈り」を以上のいわば応用問題として展開し、おだやかに閉じられる。唯心論的なアプローチではあるが、魂の転生に関する部分にさまざまな議論があり得るものの、全体として、有益な書である。

 

 

 

なぜ祈りの力で病気が消えるのか? いま明かされる想いのかがく

なぜ祈りの力で病気が消えるのか? いま明かされる想いのかがく