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ポテンシャルを掘り起こす視点の力


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菅俊一『まなざし』

 

 執筆・編集・出版関係者向けのウエブサイトDOTPLACE(ドットプレイス)のレーベルからの第一弾として2014年7月に刊行された。同ウェブサイトでの連載の第1回から第12回までをまとめた電子書籍電子書籍向けの特別の文章が附属する。連載は同ウェブサイトで現在も続いている。連載タイトルは本書と同じ「まなざし」で、日常なにげなく行っていることを視点を変えて観察する面白さを、いろいろな角度から綴る。

 電子書籍化するにあたって「校正」が行われた。その際の校正内容が通常の校正とは異なっていたらしい。ふつうは校正で文字や内容の誤りを修正する。ところが、今回はウェブサイト連載時の横書きから縦書きに変わることに伴う文章のリズムの調整という作業が必要になったという。これは頭で考えていてもだめで、実際に体験してみないと分からない。

 ふだんは当たり前と思っている環境から実は影響を受けていることを、しっかりと見つめる。そのような視点が発掘するポテンシャル。その事例がいろいろと挙げてある。

 中でも興味深いのは電子書籍版だけの特別の章だ。そこでは、今まで意識していなかったであろう、電子書籍のポテンシャルを体感させてくれる、ある「実験」の方法が書いてある。それに添って実験してみると発見があるかもしれない。視点が変われば、同じものでも新しい価値が生まれるというのは新鮮な体験である。

 

 本書の元になった連載の中で、著者が古書店で遭遇した「信じられない能力」の話はおおっと思わせられる(連載第14回)。 

 もう一つ。先入観によって評価の軸をズラしてしまうことについて書いた連載第13回「高い文庫本、安い国語辞典」がなかなかおもしろい。

 

まなざし

まなざし

 

 

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