Tigh Mhíchíl

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選手の謙遜


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〔蔵出し記事 20060621〕

 同じ日に、敬愛するスポーツ選手たちから同じような謙遜の言葉を聞いた。

 2006年NBA決勝戦でチャンピオンリングを手にしたマイアミ・ヒートドウェイン・ウェイド。MVP に選ばれた直後のインタヴューで「まず、神にすべての賛美を捧げたい」と語った。その後、自分のプレーについて触れるかと思えばチームメートやコーチを讃えるのみで自分のことは一顧だにせぬ。続いてマイクの前に立ったシャックが「彼は利他的な選手であり、世界で最高のプレーヤーだ」と断言する。既に(確か)三度 MVP を獲得しているシャキール・オニールにこう言わせるのだから、この24歳の若者の力は本物だ。バスケットボールのスーパースター誕生の日である。

 マイクル・ジョーダンと比較されることも多いが、彼は「私は私に出来ることをやるだけです」と語る。決してアグレッシヴでないことはないが、彼のプレーには無理を通すところがない。見ていると、敵の防御空間に一瞬できた隙間にすうっと滑りこむかのようになめらかな動きをする。その初動の一歩が速いと専門家はいうが、私は何度見てもその最初の動き出しのポイントが判らない。

 動き出したあとの彼の動きは定速ではなく、緩急自在で敵はついてこれない。仮についてきたとしても、それを見てパスを出すであろう。常に高い次元から見ている。そのゆとりが柔らかで自然な動きにつながるのだろう。

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[Dwayne Wade; source]

 もう一人、このシリーズで印象に残ったのはダラス・マヴェリックスのマークウィス(マーキーズ)・ダニエルズだ。25歳でウェイドと同じくガード。刺青をしている選手は珍しくないが、彼のは少し違う。胸に詩篇91を丸ごと彫ってあるという。「いと高き神のもとに身を寄せて隠れ/全能の神の陰に宿る人よ/主に申し上げよ/『わたしの避けどころ、砦/わたしの神、依り頼む方』と。」で始まる詩句である。

 なぜ詩篇91か。小さい頃、読み書きができぬダニエルズの祖母のために、毎日この詩篇を読み聞かせていたかららしい。


 もう一つはブラジルのW杯代表チーム。試合直前の控え室でチームの面々が一塊になって祈る場面をTVで見た。主の祈り(主禱文)の前後を聖母マリアへの祈りではさんでいたが、その前のほうの祈りが印象的だった。「私たちにも敵にも悪いことが起こりませんように」と、声を合わせて祈っていた。

 いつも愛犬を相手に練習するロナウジーニョのフットサルのわざは見ていて面白い。ふっと次元を飛越す感じがする。

 多くの国のサッカー選手が、失敗したプレーのあとでも成功したプレーのあとでも同じように口許で十字を切るのを見かける。「み旨であれば」と祈り結果の如何を問わず神に感謝する謙遜さ。(どのような形であれ)勝利の栄冠はかかる選手に訪れるのではないか。

 

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