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「瓦礫の下の医療」に直接従事する医療組織の物語


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菊地昭夫『Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜 1』

 

 重いテーマにもかかわらず、読みやすい。救急医療(ERなど)はよく知られているが、それとは違う。最新の医療施設の中で1人の患者に対し最大の医療を施せるのが「救急医療」。それに対し、災害の現場という限られた条件下で幾つもの傷ついた命と向き合わなければならないのが「災害医療」。その組織を DMAT と呼ぶ(Disaster Medical Assistance Team)。

 過酷な条件下の医療がもたらす緊迫感にくわえ、主人公の医師がまったくその方面の適性がなさそうな内科医というミスマッチがこのマンガに読者を惹きつける。誰が見ても大丈夫かと思えるが、意外にもこの医師は潜在的な適性を発揮し、開花させてゆく。その展開は周りの人間はもちろん、誰よりも本人を驚かせる。

 現場で遭遇する数々の困難な医療状況は専門用語が続出する。そこに読者がついてゆけるかどうかが気になるが、図解をつかって丁寧に説明されるのでまったく心配はいらない。

 読み終わって、単におもしろいだけでなく、身近な災害の問題をいろんな角度から考えさせられる。医療ものとしては新しいジャンルだろうけれど、これからが楽しみ。

 なお、このマンガを原作としたTVドラマ・シリーズが2014年1月9日から放送された(TBS系)。

 

Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜 1 (ジャンプコミックスデラックス)

Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜 1 (ジャンプコミックスデラックス)