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Tigh Mhíchíl

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米産牛肉をめぐる不可解な動き US Beef and BSE


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〔蔵出し記事 20051006〕

 

 米産牛肉と BSE をめぐる問題について、ある種の不可解な事情が存する。その事情は、BSE にからむ安全性といった科学的な問題とは全く無関係。どうやら、米側では安全な牛肉を保証する体制も意志もないらしい。そんな馬鹿なと誰しも思う。

 真相は闇の中だが、もしそうだとしたら、もういくら科学的正論を言っても無駄だ。米農務省にも、米農家にも、安全を確保した牛肉であるかどうかなど、保証する気もないし、能力もないのではないかと疑わせる報告が既にある。

 2005年6月に公式派遣された衆議院農林水産委員会の「米国の牛肉の安全に関する調査団」(米国における牛肉処理等・食の安全に関する実情調査議員団)の面々は、少なくともそう感じているに違いない。それは与野党を超えた「怒り」のような感情と感じられる。しかし、怒るべきは国会議員だけではなくて、騙された日本国民すべてである。その感情は、おそらく政府の調査委員会内閣府食品安全委員会プリオン専門調査委員会)のメンバーも共有していることだろう。すべては茶番だ。こんな問題にまで先の選挙で白紙委任を与えたつもりはないと国民が怒っても後の祭り。事態はまことに深刻だ。

 長崎で牛を育てている山田正彦衆議院議員民主党)の調査報告や日刊ゲンダイに語った内容(2005年10月6日発行の7日付)を読むと、上記のように思える。同調査団のメンバーは次の通り。彼らは国を代表して調査しに行ったのであるから、米国の現状を最もよく知る立場にある。

 調査団の公式報告は、2005年6月29日(水)に開かれた農林水産委員会でなされており、その 会議録 は誰でも読むことができる。ただし、米側の本音や、日本側とのやりとりの雰囲気は山田議員の報告のほうがよく伝えている。

 今さら真実を知ったところで事態が変えられるものではないが、忘れずにいることはできる。忘れなければ、買わないでいることができる。いや、ことによると、米国の肉牛の生産者団体、「「R-カーフ」(R-CALF 「全頭検査をして日本に輸出すべきだと主張して、農務省と対立」している団体〔山田議員による〕)がカナダ産肉牛に対して行ったように、裁判によって輸入阻止するという方法もあるのかもしれない。日本ではそれは法的に可能なのだろうか。あるいは、同団体のようにまともなところからのみ輸入を許可するというふうには出来ないものか。

 R-カーフのような例を見ても分かるとおり、米国民すべてを敵視する必要はない。米国の消費者団体の人々は日本人と同じ感覚を共有している。危ないものを口にしたくはない。家族にも人にも与えたくない。当たり前のことである。さらに、公式の立場にも、米国食肉検疫官協議会議長ペインターさん(Stan Painter)のように、農務省を告発している良心の人がいる。日本側調査団が同議長に会えなかったのは、山田議員が言う通り、残念でならない。

 もし、米政府が本気で米産牛肉の安全性を保証する気があるというなら、「BSE感染、ヤコブ症感染の判別機関に一人のプリオンの専門学者もいない」(山田議員のことば)事態を改善せよ。それをやらないなら、すべてはやはり茶番というしかない。やる気があれば、米国の科学力からすれば簡単なことである。「米国にはプリオンノーベル賞をもらった世界的な学者が2人も」いる(同議員のことば)からである。ただし、米国は自国の検査データを公表していないため、これらの科学者としても正当なリスク評価がいまだに出来ていない。もう一つ気になるのは、ヤコブ病患者の急増と BSE との間に関連が疑われていることである。

 EU は2005年9月末に英国産牛肉の禁輸解除の方針を決定しており、BSE 規制緩和の方向を打出した。背骨付き牛肉の流通も解禁する方針が固まったという。このような欧米の歩調は日本に対して包囲網のように働くのだろうか。さて、あなたはTボーンステーキを食べますか。

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