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Tigh Mhíchíl

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贋作者をたばねた謎の地中海の旅


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松岡圭祐『万能鑑定士Qの推理劇III』角川書店、2013)

 

 主人公は鑑定業を営む凛田莉子(りんだりこ)。万能鑑定士Qは「事件簿」と「推理劇」の二つのシリーズがあるけれど、本書は「推理劇」のほうの第三弾。これまでの経緯などを知っている読者を想定しているのか、莉子の生い立ちなどの詳しい情報は省かれている。が、本作をいきなり読んでもまったく問題なく楽しめる。読み始めるといつもの通り、さまざまの謎にあっという間に引込まれる。

 今回は贋作者がテーマ。さまざまな贋作に長けた、怪しい人ばかりが突然の手紙により募集される。行き先は地中海の国々。それぞれの国で、出された課題を製作し、主催者が判定する。勝ち残った者には主催者の芸術担当者として高給待遇が約束されるという。

 莉子はたまたま、知り合いの贋作者にその手紙が来て、募集に応じたことを、その婚約者から知らされる。婚約者にも行き先を知らせずに旅立ったことを不審に思い、莉子は婚約者と共に追跡を始める。

 集められた贋作者たちは「粘土を材料にした彫塑で、バッハの頭部を再現してください」などの課題に取組まされる。いろいろな頭部像が課題となる中で、復顔法というものがしだいに浮かび上がってくる。一般に歴史的に知られているのとは違った、最新の科学による復元像だ。

 課題ごとに、得点の最下位の者が失格となり、参加者は一人ずつ減ってゆく。最終の課題は卑弥呼の頭部を再現せよという、相当な無理難題だ。

 旅の目的がそもそも何なのかという謎と、地中海周辺諸国の旅情、さまざまの雑学などがあいまって、今回も楽しめる作品に仕上がっている。

 

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