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日本の歯科医療を問う


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青山繁晴、河田克之『青山繁晴、反逆の名医と「日本の歯」を問う ~歯みがきしても歯を失う! ~』(ワニプラス、2013)



 青山繁晴が竹馬の友、河田克之と、日本の歯科の現状を縦横に語り合った対談本である。控えめにいっても、日本の歯科医療を根底からゆさぶる本だと思う。

 内容はすばらしい。虫歯や歯槽膿漏などに少しでも関心がある人は、類書が殆どない本書を手に取る価値はある。また、日本の歯学界、歯科業界、保険診療にひそむ問題点に関心ある人にも参考になる。

 「常在菌による細菌感染症の原因が、異物の存在によるものである」との医学の定説に基づいて歯科医学を見直すべしとする点が一貫しており、読んでいて痛快だ。

 また、青山繁晴のファンにとっても興味深い本だろう。

 対談本だから読みやすい。ふつうの読者が疑問に思うようなところは殆どすべて青山がつっこんでくれている。それに対し、日本歯学界の「異端児」河田は独自の理論をまじえ、丁寧に説明する。

 読んだ人は、問題点、対処法などについて、かなり頭の中がクリアになる。が、問題は、そのような歯科医療がいまの日本ではなかなか受けられないというか、受けにくい仕組みになっていることである。これは何とかしてもらいたいと切に思う。

 最後に、本としては、青山のすばらしい文章が対談ゆえ見られないために、密度の点で物足りない。対談本だから仕方ないということでお世辞をいうのは彼らにとっては本意ではないだろうから、お世辞はいわない。願わくは、この本を土台に、緻密な文章で組上げた、強力な本を出してもらいたいものである。

 評者は、インタビュー本として、この上ない高みに達し、文章もすばらしい例(Dennis O'Driscoll, Stepping Stones)を範としているために、このレベルより、もっと上の本が作れるだろうと信じている。