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宇宙から光線は絶え間なく地表に注ぎ、


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暁方 ミセイ『宇宙船とベイビー』(マイナビ、2014) [Kindle版]



 不思議な詩集だ。訳も分からず、惹きつけられる。

 何度も何度も、繰返しよむ。はじめから、イメジがくっきりと浮かんでくる。色や、湿り気、光の具合、透明感、生命体のかたち、そうしたものが、リアルに浮かんでくる。

 宇宙と、生きとし生けるものとが、太古の昔から霊的に交流してきたさまが、天地の間の無限の(夢幻の)スペクトルにおいて、言葉により喚起され、提示され、音となって放出される。宇宙を貫く仏法、理法、ロゴス、何と名づけようが、それらの呼称さえ、ちっぽけなものに思えるほどの悠久の交流が、あくまで現代詩の美しい言葉で紡ぎ出される。その繭のなかに読者はとりこまれ、闇と死からの解放、光と命への開花を同時に経験する。沈み込み、上昇する宇宙的観想。

 句読点の独特な用法、硬質かつ湿潤な風合い、色合いを帯びた言語。

 どれをとっても、未体験ゾーンの詩行ながら、どこか、なつかしい。

 読者の内面に形成される霊的地理感覚は、この詩人との出会いを奇蹟の邂逅として歓ぶだろう。しずかに。

 電子詩集のひとつの理想をしめす。第17回中原中也賞(2012年)受賞詩人の2014年の詩集。

 「宇宙から光線は絶え間なく地表に注ぎ、」は、「三月の扉」から。


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