Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

高島俊男の痛快なことば談義


[スポンサーリンク]

高島 俊男『お言葉ですが…』(文藝春秋、1996)



 「週刊文春」1995年5月4・11日号から1996年7月4日号に掲載された高島俊男の人気コラム「お言葉ですが…」。シリーズ第1巻。

 著者は中国文学者で、漢字に関する著作もあるが、本連載はひろくことば全般を扱う。

 評者はこれが楽しみで「週刊文春」を購読していたくらいだ。ほかにもそういうファンはいるだろう。

 よく登場する話題に戦後文部省がきめたかなづかいの問題がある。編集者などが、執筆者個人の信念より文部省の指図を重んじるといって、著者は納得できぬと語る。

 1996年4月11日のコラムの題は<「づ」を守る会>という。察しのよい人はすぐ気づくだろう。たとえば、「づつ」を編集者が「ずつ」と直すような場合だ。

 これがどう筋が通らぬかは本書にくわしく書いてある。ご関心の向きは、現在は文春文庫でかんたんに読めるので、ぜひお読みいただきたい。

 ひとつだけ、ここに書いてないことで気づいたことを。「現代仮名遣い」(内閣告示第一号)を読むと、「5 次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。」のところに、上記のような場合は、<「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,……のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。>と、ちゃんと書いてある。だから、「づ」は使えるのだ。