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メーヴ・ビンチーの2005年の傑作短篇小説


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Maeve Binchy, A Week in Summer: A Short Story [Kindle版]



 メリマン・サマー・スクールに行くつもりなら、ぜひこれを読めといわれて読んだら、これが滅法おもしろかった。

 恋愛小説で知られるアイルランドの小説家メーヴ・ビンチー(1940-2012)が2005年にメリマン・サマー・スクールから委嘱を受けて書いた作品。アイルランドの詩人ブリーアン・メリマン(1749-1805)の没後200年を記念する祝賀行事の一環だった。メーヴはそこでこの作品を音読したらしい。それくらい短い作品。

 50代のアメリカ人夫婦が結婚生活の賦活を求めてアイルランドのリスドゥーンヴァルナにやって来る。そこで彼らは『真夜中の法廷』(ブリーアン・メリマンがアイルランド語で書いた有名な長詩)の世界にほうりこまれる。毎年やってくる何百もの人々の世界を知ることになる。

 驚くこと、楽しいことにたっぷり出会う。このサマー・スクールの一週間は彼らの生活を変えるなにかをもたらす。

 読者は最初のうちは気づかないが、この夫婦はブライアンとキャスリーンという名前だ。この名前の夫婦がメリマン・サマー・スクールにやって来たのは、はたして偶然なのだろうか。メーヴの語り口がうまく、一気に読ませる。