読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

現代のアイルランド伝統音楽の出発点――ショーン・オリアダの歴史的著作


[スポンサーリンク]

Seán Ó Riada, Our Musical Heritage (Fundúireacht an Riadaigh, 1982)



 ショーン・オリアダが1962年7月7日から10月13日にかけておこなった、アイルランド伝統音楽に関する歴史的ラジオ放送に対応する著作。

 本としては1982年に出版された。ラジオ放送でつかわれた楽曲などの音源は3枚組の LP としてリリースされた(おそらく1981年)。

 アイルランド伝統音楽が今日の姿をとるにいたった直接の震源地がこの放送だった。それまでの伝統音楽観がこのとき、根本的に改められ、いわばリスナーや音楽家を含むアイルランド伝統音楽関係者の意識が覚醒された。

 20世紀のアイルランド伝統音楽史のなかで最も重要な本であり LP である。これ以後、アイルランド伝統音楽は劇的な発展をとげ、世界中で愛好される音楽に変貌する。

 残念ながら、本も LP も手に入れるのは難しい。特に、LP はまれにオークション市場に出ることはあるにしても、見かけることすら難しい。ぼくはそれが置いてあるダブリンの伝統音楽資料館(ITMA)に何年も通いつめ、Stax のヘッドフォンで中身を聞いた。

 さいわい、近年アイルランド語放送局が当時の放送を復刻して放送してくれたので、多くの人の耳にふれた。

 アイルランド伝統音楽に関するあらゆる理論的側面について、当時としては画期的な見解がオリアダの実演(スタジオに置いてあるピアノの演奏)で披瀝され、おそらくリスナーは手に取るようにアイルランド伝統音楽の構造が分っただろう。

 冒頭にかかげられた 「アイルランド音楽はヨーロッパ音楽にあらず。」の雷鳴のごとき宣言が今も鳴り響いている。読むたびに震撼させられる書。


広告を非表示にする