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アメリカ詩を百篇、翻訳と註釈とともに


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亀井 俊介、川本 皓嗣編『アメリカ名詩選』(岩波文庫、1993)



 時間のない人のために結論から。アメリカ詩の良質なアンソロジーを求めている人が何か一冊手許に、という目的には最適の書。これ以上のものはちょっとない。

 植民地時代から19世紀後半のエミリ・ディキンスンまでを亀井俊介(ホィットマンが専門)、そのほか大体全部を川本皓嗣比較文学)が担当し、詩の原文、日本語訳、註釈で構成。詩の出典、索引、詩人小伝も完備。400頁足らずの本によくもこれだけ詰込んだというくらい充実しており、一生の間よみかえすに足る内容と水準がある。

 この書ならではの特徴を挙げると、ほかでは中々よめない珍しいというか難解な現代詩人も取上げていること。ジョン・アシュベリやシーオドー・レトキやマリアン・ムアなど。また、実に丁寧に読込んだ翻訳と、読者の理解を深める註釈が附いていること。翻訳の裏づけとなる解釈について註釈に明確に示してあるのは良心を感じさせる。

 明治30年に内村鑑三は「米国詩人は英国詩人よりも遥かに偉大なり」と述べた。当時も今も妄言と受取られかねない。が、本書を味読するひとはその慧眼に驚くことになるだろう。


〔関連書〕
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