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Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

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女性同士の美しい友情を女風呂で描く異色の作品


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森薫乙嫁語り 7巻』KADOKAWA/エンターブレイン、2015)

 

 『乙嫁語り』7巻はアニスの物語。旅するスミスが立寄った屋敷の奥方。

 アニスが風呂屋に行き、友を得る話。女湯といっても湯舟はなく、サウナである。大衆が交流する場であり、自宅に風呂があるアニスのような人はふつうは行かない。

 日頃ひとりで過ごし、愁いに沈むアニスには話したり遊んだりする相手が必要だと勧められ、社交場でもある風呂屋に行くことにする。そこでシーリーンという女性に出会う。一児の母であり、やせたアニスと違い豊満な体つきだ。アニスは時々会うようになる。

 そのうちに二人は姉妹妻という、結婚して子供のいる女性同士の契りを交わし、一生の親友となる。作者のあとがきによると、17世紀から19世紀ころまであった「縁組姉妹」という風習だが今はない。作者は言及していないが、この風習のソースは『ペルシア民俗誌』(東洋文庫、1999)にある『コルスムばあさん(コルスム・ナネ)』(女の風習を論じる奇書)らしい。

 ところが、二人が姉妹妻の契りの儀式をしたまさにその日に、シーリーンの夫が倒れ、急死してしまう。もともと裕福ではなく、子連れで、身体が不自由な義父母をかかえたシーリーンは途方にくれる。再婚できるあてもない。

 苦境に陥った友を見て、アニスは驚くべき方法を思いつく。

 マンガとしてはほぼ全篇「裸まみれの風呂マンガ」(作者の言葉)なのだが、アニスの友情に表れた心の純粋さが印象に残る作品だ。アミルも出てこない点でシリーズでは異色だが、すばらしい物語。森薫の絵のタッチはいつものとおり美しい。

 

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