シリーズ第2巻にしてエンジン全開!
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特異なコンセプトを設定した第1巻に続くこの第2巻。松岡ぶしは全開だ。あらゆる点から見て第一級のサスペンス小説に開花した。
悪徳探偵を潰す使命を帯びた主人公、紗崎玲奈(ささきれな)。今回、決定的に大きな進展がある。
それを導くDVセンター事件。その調査の過程で社会の裏面がさまざまな顔を見せる。もちろん、巻末にはおきまりの文句があり、この物語はフィクションであって、「登場する個人・団体等はフィクションであり、現実とは一切関係がありません」と、書かれている。
だけど、物語をささえる細部まで現実と関係ないといえるか。それについては何にも書かれていない。上の断り文句はよく読めば、現実と無関係なのはあくまで個人・団体名だけだと分かる。
そして、調べてみると、現実は小説よりも奇なり。例えば、DVセンターを調べると、DVシェルターを出てから先までDV夫に追跡された事例が出てくる。そのための方法はこの小説にも出てこなかったが、完全にあり得る方法だった。
こうやって現実を知るとその怖ろしさに言葉を失う。古い認識に甘んじているひとを啓蒙する目的でも、松岡流のサスペンスを楽しむためでも、主人公の人物像に感動を覚えるためでも、どの動機であれ、すばらしい作品だ。