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Smithsonian Global Sound, Folkways, Moses Asch


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〔蔵出し記事 20050413〕

 スミソニアン・グローバル・サウンド〔現在は Smithsonian Folkways〕は2005年6月からプロジェクトを公式発足させた。ポイントをまとめる。

  • ワールド・ミュージックの音源、約 35,000 曲を 1 曲 1 米ドル前後でオンライン販売
  • 音源は Folkways ほぼ全部+アフリカ音楽(ILAM)+ARCE
  • 音声コーデックは MP3 と FLACDRM なし)

 スミソニアン・グローバル・サウンドでは、MP3 も FLAC も、どちらも DRM (Digital Rights Management)は載せていない。

 音源の ILAM というのは南アの International Library of African Music のこと。また、ARCE はインドの Archives and Research Center for Ethnomusicology のこと。Folkways のことは後述する。

 曲(または朗読など)の価格は、ほとんどのトラックが 99 セント。アルバム1枚9ドル99セント。

 無伴奏の歌などはコーデックにより音質に相当な違いがある。歌の存在感というか、空気のようなもの、元の LP 盤が有していた「オーラ」に近いようなものは FLAC のほうでないと絶対無理である。FLAC は MP3 のサイズのほぼ 6 倍もあるし、自分には関係ないやと思う向きもあるかもしれないが、保管スペースに余裕があれば、ぜひ一緒に落としておくことをおすすめする。


Folkways について

 往年のフォーク・ミュージック・ファンや民族音楽好きにはおなじみの米国の Folkways レーベルのことをちょっと補足する。このレーベルは、1948年、モーゼズ・アッシュ(Moses Asch) が設立。名前からすぐに分かるが、ポーランドユダヤ人である。

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 あるインタヴューでピート・シーガーは、アッシュがフォーク・ミュージック普及に果たした役割について語っており、興味深い。

 1939年頃、ホテルに PA 装置を設置する仕事をしていたモーゼズは、ひょんなことから、父親のショーレム(Sholem Asch,1880-1957 〔ポーランド生まれの米国の小説家、劇作家。主としてイディッシュ語で書いた。聖書に材をとった小説で有名。〕)に、アインシュタインのラジオ放送用の録音に来いと言われる。米国にいるユダヤ人に対し、もっと同胞がドイツを脱出できるよう援助せよと呼びかける番組であった。夕食の席で、アインシュタイン博士がモーゼズに君は何の仕事をしているのかね、と訊く。モーゼズは答えているうちに、知られざるアメリカのアーティストを録音し世に出すことこそ自分の使命と自覚してゆくという逸話である。

 Folkways レーベルは上のインタヴューにも出てくるが、レッドベリーやウディ・ガスリーやピート・シーガーのアルバム、それに有名なハリー・スミスAnthology of American Folk Music などをリリースしてきた。Folkways のカタログには、フォーク、ブルーズ、ワールド・ミュージック、子供のための音楽、ジャズ、クラシック、前衛音楽、自然界の音(アマガエルの鳴き声のアルバムもある)、詩(ダンテの『神曲・地獄篇』の朗読もある)などが含まれている。

 1986年にアッシュがなくなり、翌年、米国の首都ワシントンにあるスミソニアン協会 (Smithsonian Institution) が Folkways を買い取った。

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