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名残りの薔薇、その旋律 The Last Rose of Summer


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〔蔵出し記事 20050317〕

 'The Last Rose of Summer' (庭の千草 〔菊〕)はアイルランド民謡として知られているが、それ以上のことはあまりネットに出てこないのでちょっと書く。

 この歌はダブリン生まれの詩人トマス・ムア(Thomas Moore, 1779-1852)が詩を書き、Irish Melodies, vol. 5 (1813) で発表したが、その際、採用した旋律を詩に合わせて手を加えたと言われている。その旋律は、バンティング(Edward Bunting, 1773-1843)の The Ancient Music of Ireland, I (1766) などに出ていたもので、'The Groves of Blarney' という題などで知られる。

 ムアが発表した旋律に関しては一箇所議論になっているところがある。それは、たぶん一番の聞かせ所なので、どっちに転ぶかで結構影響がある。11小節目の最後の音が 5度 の # か 5度 かという問題である。歌詞でいうと 'No rosebud is nigh' の 'is' の音符である(版により二つ目の音符)。元は 5度# だったのをムアが 5度 に変更したのではないかと言われている。通俗的には 5度# のほうが短調的な泣きのメロディーで受けるだろうが、ムアの変更のほうが自然な旋律と思う。しかし、そういう録音はちょっと聞いた記憶がない。これ、イラン・パイプスで比べてみれば意外にはっきりするんじゃないか。

 この歌の楽譜は Mutopia Project で public domain として公開されているが、その版では 5度# になっている。曲名に Martha という別名がついているが、それはこの旋律をもとにしてフロートー(Baron Friedrich von Flotow, 1812-83)が書いたオペラの題名である。

 

 

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